国外居住親族に係る扶養控除

非居住者である親族につき扶養控除を受ける場合、国外送金書類等の書類を確定申告書に添付しなければならない。

居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から、原則としてその控除対象扶養親族一人につき38万円を控除する(所法84条1項)。この控除は、扶養控除という(所法84条2項)。居住者の配偶者以外の親族等でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が58万円以下である者を扶養親族という(所法2条1項34号)。ただし青色事業専従者及び事業専従者は扶養親族とはならない(所法2条1項34号かっこ書き)。扶養親族が居住者である場合、年齢16歳以上の者が控除対象扶養親族に該当する(所法2条1項34号の2イ)。扶養親族が非居住者である場合、以下の者が控除対象扶養親族に該当する(所法2条1項34号の2ロ)。

  • 年齢16歳以上30歳未満の者
  • 年齢30歳以上70歳未満の者で以下のいずれかに該当するもの
  • 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
  • 障害者
  • その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者
  • 年齢70歳以上の者

扶養親族が非居住者となっていても、扶養控除の要件としては国外送金書類等の書類は必要ない。しかし確定申告にあたり、国外送金書類等が必要とされる。すなわち非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする居住者は、国外居住親族等の各人別に次に掲げる区分等に応じそれぞれに定める書類を確定申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない(所法120条3項3号所令262条4項)。

親族の年齢等親族関係書類送金関係書類38万円送金書類留学ビザ等書類
16歳以上30歳未満必要必要不要不要
30歳以上70歳未満留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者必要必要不要必要
障害者必要必要不要不要
居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者必要不要必要不要
上記以外扶養控除の対象外
70歳以上必要必要不要不要

親族関係書類、送金関係書類、38万円送金書類、留学ビザ等書類は法令上の用語ではなく、通称である。

親族関係書類とは、国外居住扶養親族等に係る次に掲げるいずれかの書類であって、当該国外居住扶養親族等が同条第四項の居住者の配偶者以外の親族に該当する旨を証するものをいう(所規47条の2第7項)。(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要となる(所規47条の2第7項かっこ書き)。

  • 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び旅券の写し
  • 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、当該国外居住扶養親族等の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるもの

送金関係書類とは、次に掲げる書類であって、国外居住扶養親族等に係る扶養控除等を受けようとする居住者がその年において国外居住扶養親族等の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいう(所規47条の2第8項)。当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要となる(所規47条の2第8項かっこ書き)。

  • 金融機関の書類又はその写しで、当該金融機関が行う為替取引によって当該居住者から当該国外居住扶養親族等に支払をしたことを明らかにするもの
  • クレジットカード等購入あっせん業者の書類又はその写しで、クレジットカード等を当該国外居住扶養親族等が提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたことにより支払うこととなる当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を当該居住者から受領し、又は受領することとなることを明らかにするもの
  • 電子決済手段等取引業者の書類又はその写しで、当該電子決済手段等取引業者が当該居住者の依頼に基づいて行う電子決済手段の移転によって当該居住者から当該国外居住扶養親族等に支払をしたことを明らかにするもの(みなし電子決済手段等取引業者の書類又はその写しにあっては、当該みなし電子決済手段等取引業者が発行する電子決済手段に係るものに限られる。)

38万円送金書類とは、送金関係書類で居住者から国外居住扶養親族等である各人へのその年における支払の金額の合計額が38万円以上であることを明らかにするものをいう(所規47条の2第10項)。

留学ビザ等書類とは、外国政府又は外国の地方公共団体が発行した国外居住扶養親族等に係る次に掲げるいずれかの書類であって、当該国外居住扶養親族等が外国における留学の在留資格に相当する資格をもって当該外国に在留することにより国内に住所及び居所を有しなくなった旨を証するものをいう(所規47条の2第9項)。当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要となる(所規47条の2第9項かっこ書き)。

  • 外国における査証に類する書類の写し
  • 外国における在留カードに相当する書類の写し