事前確定届出給与の届出前の支給

事前確定届出給与とは、一般に役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないものをいう。事前確定届出給与は原則として税務署にその定めの内容に関する届出をしていなければ損金の額に算入できない(法法34条1項2号イ)。

事前確定届出給与は原則として税務署に届け出なければ損金の額に算入できないため、税務署へ届出をする前に事前確定届出給与の支給をできるかという問題がある。日本では決算を3月に行い、従業員に対する賞与を7月、12月に支給する企業が多い。3月決算であれば6月の下旬に定時株主総会を行うこともある。仮に6月末で定時株主総会を行ったとする。従業員への賞与の支給が7月15日であり、それに合わせて事前確定届出給与の支給を行う場合、届出よりも前に事前確定届出給与を支給する余地がある。

この点、届出前に事前確定届出給与の支給をしても、他の要件を満たせば損金の額に算入することができると考える。事前確定届出給与の支給前にその届出をすることを要求する条文はない。また事前確定届出給与につき税務署に届け出ることが義務付けられてたのは、事前確定届出給与となる給与の定めをした時期が職務執行の開始前なのか確認するためである(平成18年度税制改正の解説P.325)。届出が支給よりも後になっても、この趣旨に反しない。以上から届出前に事前確定届出給与の支給をしても、他の要件を満たす限り損金の額に算入することができると考える。