1.前提
源泉徴収を選択した特定口座による所得は申告不要といわれる。源泉徴収を選択した特定口座をここでは源泉徴収選択口座とする。源泉徴収選択口座に保管されている上場株式等による所得は基本的に上場株式等に係る譲渡所得と配当所得である。譲渡所得は基本的に申告が必要である。しかし源泉徴収選択口座に保管されている上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額等を除外したところにより、確定申告等することができる(措法37条の11の5第1項)。これを一般に申告不要という。一方上場株式等に係る配当所得等の金額は譲渡所得と異なり源泉徴収選択口座か否かを問わず、その所得を除外したところにより確定申告することができる(措法8条の5第1項2号)。譲渡所得と配当所得で枠組みが異なるが、両者を合わせて特定口座による所得は申告不要といわれる。
しかし譲渡損が生じた場合など、特定口座による所得を申告した方がよい場合がある。その際すべてを申告しなければならないのかなど疑問が生じる。
2.同一の源泉徴収選択口座に係る譲渡所得と配当所得の申告の選択の可否
譲渡所得と配当所得の申告不要は別々の枠組みであるため、同一の源泉徴収選択口座に係る譲渡所得と配当所得はそれぞれ申告するかしないかを選べる。つまり譲渡所得のみ申告することもできるし、配当所得のみ申告すること、両方とも申告することもできる。
ただし譲渡損が生じている場合は例外的に譲渡所得と配当所得を両方とも申告しなければならない(措法37条の11の6第10項)。源泉徴収選択口座で受け取った配当は譲渡損と自動的に損益通算されているためである。
3.複数の源泉徴収選択口座の申告の選択の可否
複数の源泉徴収選択口座を保有する場合において、ある源泉徴収選択口座に係る譲渡所得について申告を選択する場合でも、原則として他の源泉徴収選択口座に係る譲渡所得を申告しないことができる(措法37条の11の5第1項1号かっこ書き)。配当所得についても複数の源泉徴収選択口座の申告の選択に関する特段の規定がないため、ある源泉徴収選択口座に係る配当所得のみ申告することができる。
4.源泉徴収選択内の個々の譲渡・配当等の申告の選択の可否
(1)源泉徴収選択口座に係る譲渡所得を申告する場合
源泉徴収選択口座に係る譲渡所得を申告する場合、その源泉徴収選択口座に保管されていた上場株式等の譲渡による譲渡所得等の総額を申告しなければならない(措法37条の11の5第1項1号(「その年中にした・・・譲渡所得の金額・・・」))。
(2)源泉徴収選択口座に係る配当所得を申告する場合
上場株式等に係る配当等については原則として配当ごとに申告するかしないか選択することができる(措法8条の5第4項)。しかし源泉徴収選択口座に係る配当等を申告する場合、その源泉徴収選択口座に係る配当所得の総額を申告しなければならない(措法37条の11の6第9項)。