無対価分割の場合の分割型分割と分社型分割の法人税法上の定義と区分

一般的に分割型分割とは分割の対価が分割承継法人の株主等に交付される分割をいい、分社型分割とは分割の対価が分割承継法人の株主等に交付されない分割をいう。その意味では分割の対価が交付されない無対価分割はすべて分社型分割になりそうである。しかし法人税法では無対価分割の場合について通常と異なる分割型分割・分社型分割の定義をおいている。

無対価分割の場合、分割型分割とはその分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している分割又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない分割をいう(法法2条12号の9ロ)。それに対し分社型分割とは、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合で、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有していない場合の分割をいう(法法2条12号の10ロ)。これらの定義に基づき以下のように整理することができる。

分割承継法人による分割法人の発行済株式等の全部の保有
保有あり保有なし
分割法人による分割承継法人の株式等の保有保有あり分割型分割分社型分割
保有なし分割型分割分割型分割

例えば国税庁の質疑応答事例「分割対価資産がない分割型分割に係る適格判定について」の事例のように、親会社が100%保有している子会社間で無対価の分割を行う場合、分割法人は分割承継法人の株式等を保有しておらず、分割承継法人も分割法人の発行済株式等の全部を保有していないため、分割型分割に該当する。

会社分割するために100%子会社を新しく設立し、親会社からその子会社に無対価で吸収分割をさせる場合、分割法人は分割承継法人の株式等を保有しており、分割承継法人は分割法人の発行済み株式等の全部を保有していないため、分社型分割となる。