1.定率法による減価償却の方法
定率法とは減価償却資産の未償却残高に償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう(法令48条の2第1項1号イ(2))。ただし当該計算した金額を調整前償却額といい、調整前償却額が償却保証額に満たない場合には、改定取得価額に改定償却率を乗じて計算した金額が償却限度額とする(法令48条の2第1項1号イ(2)かっこ書き)。償却保証額とは減価償却資産の取得価額に保証率を乗じて計算した金額をいう(法令48条の2第5項1号)。改定取得価額とは調整前償却額が償却保証額に満たなくなった最初の事業年度の当該減価償却資産の未償却残高である(法令48条の2第5項2号)。償却率等は財務省令で定められており、その財務省令がいわゆる耐用年数省令である(法令56条)
2.具体例
取得価額10,000,000円、耐用年数10年の減価償却資産を定率法で償却する場合、償却率は0.200である。保証率は0.06552であるため、償却保証額は655,200円である。1年目は期首から償却をはじめ、償却額が償却限度額と一致するように償却するものとする。
償却額は以下のようになる。
償却前未償却残高 | 調整前償却額 | 改定後の償却額 | 償却額 | 償却後未償却残高 | |
1年目 | 10,000,000 | 2,000,000 | 2,000,000 | 8,000,000 | |
2年目 | 8,000,000 | 1,600,000 | 1,600,000 | 6,400,000 | |
3年目 | 6,400,000 | 1,280,000 | 1,280,000 | 5,120,000 | |
4年目 | 5,120,000 | 1,024,000 | 1,024,000 | 4,096,000 | |
5年目 | 4,096,000 | 819,200 | 819,200 | 3,276,800 | |
6年目 | 3,276,800 | 655,360 | 655,360 | 2,621,440 | |
7年目 | 2,621,440 | 524,288 | 655,360 | 655,360 | 1,966,080 |
8年目 | 1,966,080 | 393,216 | 655,360 | 655,360 | 1,310,720 |
9年目 | 1,310,720 | 262,144 | 655,360 | 655,360 | 655,360 |
10年目 | 655,360 | 131,072 | 655,359 | 655,359 | 1 |
6年目までは調整前償却額が償却保証額以上であるため、調整前償却額が償却限度額となる。7年目は調整前償却額が償却保証額に満たなくなるため、改定取得価額に改定償却額を乗じて計算した金額が償却限度額となる。改定取得価額は7年目の期首未償却残高である2,621,400円である。改定償却率は0.250であるため、改定後の償却額は655,360円となる。