1.国外送金書類に関する留意点
(1)国外送金書類の意義
送金関係書類とは、次に掲げる書類であって、国外居住扶養親族等に係る扶養控除等を受けようとする居住者がその年において国外居住扶養親族等の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいう(所規47条の2第8項)。当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要となる(所規47条の2第8項かっこ書き)。
- 金融機関の書類又はその写しで、当該金融機関が行う為替取引によって当該居住者から当該国外居住扶養親族等に支払をしたことを明らかにするもの
- クレジットカード等購入あっせん業者の書類又はその写しで、クレジットカード等を当該国外居住扶養親族等が提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたことにより支払うこととなる当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を当該居住者から受領し、又は受領することとなることを明らかにするもの
- 電子決済手段等取引業者の書類又はその写しで、当該電子決済手段等取引業者が当該居住者の依頼に基づいて行う電子決済手段の移転によって当該居住者から当該国外居住扶養親族等に支払をしたことを明らかにするもの(みなし電子決済手段等取引業者の書類又はその写しにあっては、当該みなし電子決済手段等取引業者が発行する電子決済手段に係るものに限られる。)
(2)送金関係書類となりうるもの
以下の書類は送金書類となりうる(Q&A37、38、40)。
- 外国送金依頼書
- 通帳のコピー
- 家族カードの明細
(3)留意点
複数回の送金等を行った場合
居住者が複数回の送金等を行った場合、原則としてすべての送金関係書類を提出又は提示しなければならない(Q&A32)。
ただし居住者が国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払をその年に同一の国外居住親族に3回以上行った場合、その年の全ての送金関係書類の提出又は提示に代えて、次に掲げる事項を記載した明細書の提出及び各国外居住親族のその年の最初と最後の当該支払に係る送金関係書類の提出又は提示を送金関係書類の提出又は提示とすることができる(所基通120-9)。
- 居住者の氏名及び住所
- 支払を受けた国外居住親族の氏名
- 支払日
- 支払方法(所得税法施行規則第47条の2第6項各号又は第8項各号の支払方法の別)
- 支払額
なおこの適用を受ける場合でも、居住者は提出又は提示しなかった送金関係書類を保管しなければならない(所基通120-9)。
複数の国外居住親族に対する送金等を一人の代表者にまとめて行った場合
国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものとされているため、居住者が一の国外居住親族に対して他の国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を行った場合における当該支払に係る送金関係書類については、他の国外居住親族に係る送金関係書類には該当しない(所基通120-8)。
複数年分を一括して送金した場合
複数年分を一括して送金した場合であっても、
送金書類はその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものとされているため、複数年分を一括して送金した場合、送金した年の送金書類に該当するが、他の年の送金書類とはならない(Q&A36)。
共同名義口座への送金
共同名義口座への送金は、その送金が個々の国外居住親族にそれぞれ送金されていることが明らかでない場合、当該送金に関する書類は送金関係書類に該当しない(Q&A35)。
2.38万円送金書類
(1)38万円送金書類の意義
38万円送金書類とは、送金関係書類で居住者から国外居住扶養親族等である各人へのその年における支払の金額の合計額が38万円以上であることを明らかにするものをいう(所規47条の2第10項)。上記の留意点等はすべて38万円送金書類にも適用される。