1.会計
新リース会計では、借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう(リース会計適用指針4(3))。借地権は以下に分かれる。
- 普通借地権
- 定期借地権
- 旧借地権
普通借地権とは、定期借地権以外の借地権で、旧借地権でないものをいう(リース会計適用指針4(7))。定期借地権とは、借地借家法に基づく一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付き借地権をいう(リース会計適用指針4(8))。旧借地権とは、平成4年に廃止された借地法の規定により設定された借地権をいう(リース会計適用指針4(6))。
会計上借地権の設定に係る権利金等は、原則として、使用権資産の取得価額に含め、原則として、借手のリース期間を耐用年数とし、減価償却を行う(リース会計適用指針27)。
例外的に新リース会計基準の適用指針の適用初年度の期首に計上されている旧借地権の設定に係る権利金等及び普通借地権の設定に係る権利金等であっても、当該適用指針の適用前に償却していなかった場合、減価償却を行わないものとして取り扱うことができる(リース会計適用指針27(1))。当該適用指針の適用後に新たに計上される権利金等も当該適用指針の適用前に権利金等を償却していなかった場合は、減価償却を行わないものとして取り扱うことができる(リース会計適用指針27(1))。また当該適用指針の適用初年度の期首に旧借地権の設定に係る権利金等及び普通借地権の設定に係る権利金等が計上されていない場合において、当該適用指針の適用後に新たに計上される権利金等については減価償却を行わないものとして取り扱うことができる(リース会計適用指針27(2))。
2.税務
借地権は土地の上に存する権利であるため、法人税法上固定資産に該当する(法法2条22号)。しかし減価償却資産に該当しない(法令13条参照)。従って借地権は減価償却することはできない。定期借地権は存続期間の更新がない借地権であるが、法人税法上は普通借地権・定期借地権の区別をつけていないため、定期借地権であっても償却できないと考える。
なお資産を賃借し又は使用するために支出する権利金等は繰延資産とされる(法令14条1項6号ロ)。法人税においても借地権の設定に係る権利金等が借地権として資産計上されるため、借地権は資産を賃借し又は使用するために支出する権利金等に該当し、繰延資産になりそうである。しかし繰延資産からは資産の取得に要した金額とされるべき費用は除外されている(法令14条1項かっこ書き)。借地権は法人税法上は固定資産であるため、その設定に係る権利金等は借地権という資産の取得に要した金額であり、繰延資産から除外される費用に該当し繰延資産に該当しない。