1.特例の内容
内国法人が日本国内において配当等の支払いを受ける場合、原則として、所得税が課税される(所法174条2号)。そして内国法人に対し国内において配当等の支払をする者は、その支払の際、源泉徴収をしなければならない(所法212条3項)。
例外として内国法人が支払を受ける完全子法人株式等に該当する株式等に係る配当等については所得税は課税されない(所法177条1項)。源泉徴収もされない(所法212条3項)。
また内国法人が他の内国法人から配当等の支払いを受ける場合において、その配当等の額に係る基準日等において内国法人が、当該他の内国法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の1を超える数又は金額の株式等を有しているtときは、当該内国法人が支払を受ける当該他の内国法人の株式等に係る配当等についても所得税は課税されない(所法177条2項、所令301条2項)。源泉徴収もされない(所法212条3項)。
2.特例が適用されない場合
これらの特例は配当等の支払いを受ける内国法人が株式等を自己の名義をもって有しているものでなければならない(所法177条1項かっこ書き)。自己の名義をもって有しているものとは、組合や信託経由で保有しているもの以外のものをいう(令和4年度税制改正の解説 P.88)。これは源泉徴収の段階で源泉徴収義務者が完全子法人株式等などに該当するか判断をする必要があるためである。
また一般社団法人等が配当等の支払いを受ける場合には適用されない(所法177条1項かっこ書き)。