金融商品取引業法上有価証券は以下に区分される。
根拠条文 | 金商法上の名称 | 通称 | 具体例 |
2条1項 | – | 伝統的な有価証券 | 株券、社債券等 |
2条2項前段 | 有価証券表示権利 | – | 券面不発行の株式、社債等 |
2条2項中段 | 特定電子記録債権 | – | – |
2条2項後段 | – | 集団投資スキーム持分 | 信託受益権、持分会社の社員権等 |
匿名組合出資はこのうち集団投資スキーム持分として有価証券に該当する(金商法2条2項5号)。
法人税法では有価証券に該当しない。法人税法では有価証券とは「金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの」と定義される(法法2条21号)。有価証券に準ずるものの範囲は法人税法施行令11条に定められているが、それにも含まれておらず、有価証券に該当しない。
所得税法でも有価証券に該当しない(所法2条1項17号、所令4条)。しかし国外転出時課税の対象となる「有価証券等」には含まれる(所法60条の2第1項)。そのため他の要件も満たした場合、国外転出時課税の適用がある。また分離課税の対象となる「株式等」には含まれない(措置法37条の10第2項)。そのため譲渡した場合総合課税されると考える。
消費税法では匿名組合出資は有価証券等に該当し、その譲渡等は非課税取引となる (消法別表第2第2号、消令9条、消基通6-2-1(2)ロ)。