匿名組合出資の募集
匿名組合出資の募集又は私募は、第二種金融商品取引業に該当するため、第二種金融商品取引業の登録を受けなければならない。匿名組合出資持分は集団投資スキーム持分として金商法上の有価証券に該当する(金商法2条2項5号)。その募集又は私募は第二種金融商品取引業に該当する(金商法2条8項7号ヘ、金商法28条2項1号)。従って匿名組合出資の募集又は私募を行う場合、第二種金融商品取引業の登録を受けなければならない。
営業者自身で募集又は私募をする場合でも登録を受けなければならない。営業者が登録を受けずに募集する場合、第二種金融商品取引業の登録業者に募集等を委託するか、適格機関投資家等特例業務を利用する必要がある。
一定の適格機関投資家等を相手方として行う匿名組合出資に係る私募等は第二種金融商品取引業の登録を受けずに行うことができる(金商法63条1項1号)。これを適格機関投資家等特例業務という。後述するように適格機関投資家等特例業務には投資運用業の特例もある。適格機関投資家等特例業務の適用を受ける場合、登録は不要であるが、届出をしなければならない(金商法63条2項)。
信託受益権化された不動産の取得
不動産証券化では不動産は信託受益権化されることが多い。信託受益権化された不動産の取得は信託受益権の取得である。信託受益権は原則として集団投資スキーム持分として金商法上の有価証券に該当する(金商法2条2項1号)。従って信託受益権の取得は、金商法上有価証券に対する投資といえる。匿名組合出資により受け入れた金銭その他財産を信託受益権に投資する行為は投資運用業に該当する(金商法2条8項15号ロ、金商法28条4項3号)。そのため投資運用業の登録を受けなければならない。
営業者が登録を受けずに行うには、適格機関投資家等特例業務を利用するか、丸投げ特例を利用する必要がある。
匿名組合出資の出資者等である適格機関投資家等から出資され又は拠出された金銭の運用を行う一定の投資運用業は、第二種金融商品取引業の登録を受けずに行うことができる(金商法63条1項2号)。これも適格機関投資家等特例業務という。適格機関投資家等特例業務の適用を受ける場合、登録は不要であるが、届出をしなければならない(金商法63条2項)。
金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、一定の権利を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うことは原則として投資運用業に該当する(金商法2条8項15号)。しかしこの行為を行う者が金融商品取引業者等との間で投資一任契約を締結し、当該契約に基づき、当該行為に係る一定の権利を有する者のため運用を行う権限の全部を委託するものは、金融商品取引業に該当しない(金商法2条8項15号、金商令1条の8の6第1項4号、定義府令16条1項10号)。これを丸投げ特例という。