直接吸収合併する場合と子会社化後に吸収合併する場合の税務の比較

1.前書き

外部の会社を合併する場合、直接合併するのではなく、まず子会社にして合併をする場合がある。単純なケースで比較を行う。

2.検討するケースの条件

(1)当事者

合併法人X社
被合併法人の株主A社
被合併法人B社

(2)当事者間の資本関係

  • X社とA社には資本関係がない。
  • B社はA社の100%子会社である。

(3)被合併法人の財政状態

被合併法人であるB社の資産の簿価等は以下の通りとする。

資産の簿価800,000
資産の時価900,000
負債の簿価200,000
資本金等の額100,000
利益積立金額500,000

(4)X社からA社に支払う対価

X社はB社の買収の対価としてA社に現金1,000,000を支払うものとする。

(5)資産調整勘定等

  • 非適格合併に該当する場合、資産調整勘定等が生じうる非適格合併であるものとする。
  • 資産調整勘定が発生する場合、資産等超過差額は0円とする。

(6)子会社化後に吸収合併する場合

無対価で合併するものとする。

(7)非現実的な仮定

単純化するため被合併法人であるB社の最後事業年度の法人税等は考慮しない。

3.適格合併の判断

(1)直接吸収合併する場合

対価として現金を支払うため、金銭等不交付要件を満たさず非適格合併に該当する。

(2)子会社化後に吸収合併する場合

X社がB社の株式をすべて保有しているため、適格合併に該当する。

4.合併法人

(1)直接吸収合併する場合

税務仕訳は以下の通り。

借方貸方
資産900,000負債200,000
資産調整勘定300,000 ※1現金1,000,000

※1:1,000,000 – (900,000- 200,000)

(2)子会社化後に吸収合併する場合

子会社から吸収合併までの税務仕訳は以下の通り。

借方貸方
B社株式1,000,000現金1,000,000
資産800,000負債200,000
資本金等の額△900,000 ※2
利益積立金額500,000 ※3
B社株式1,000,000

※2:100,000 – 0 – 1,000,000
※3:800,000 – 200,000 – 100,000

直接吸収合併する場合と比べると、資産調整勘定が生じず、また利益積立金額が増加する。このケースの場合では抱合株式の消滅等があり資本金等の額が減少する。

5.被合併法人の株主

(1)直接吸収合併する場合

税務仕訳は以下の通り。非適格合併であるため、みなし配当が生じる。なお合併によるみなし配当の場合、受取配当等の益金不算入における完全子法人株式等であるかどうかの判定は合併の効力発生日の前日を基準に行うため、完全子法人株式等に該当する(法令22条の2第1項)。

借方貸方
現金1,000,000B社株式100,000
みなし配当900,000 ※4

※4:1,000,000 – 100,000
※5:このケースでは譲渡損益は生じない((1,000,000 – 900,000) – 100,000)。

(2)子会社化後に吸収合併する場合

借方貸方
現金1,000,000B社株式100,000
有価証券譲渡益900,000