事業譲渡と消費税

1.基本的な課税関係

事業譲渡を場合、事業譲渡により移転する資産を譲渡したものとして消費税の課税対象となる。

2.事業譲渡に伴い債務を移転する場合

事業譲渡により譲渡した事業に係る債務を移転する場合がある。この場合、債務が移転することにより譲渡人は債務を免れる。債務を免れるという経済的利益を得るため、移転した債務額は資産の譲渡等の対価に含まれる(消法28条1項かっこ書き)。

例えば質疑応答事例「営業の譲渡をした場合の対価の額」の数値例であるが、移転する資産の価額は40億円であり、移転する債務の額は5,000万円である。事業譲渡の直接的な対価の額は39億5,000万円である。債務5,000万円も移転するため、譲渡人は5,000万円の経済的利益を受けている。そのため事業譲渡による資産の譲渡等の対価の額は39億5,000万円と5,000万円を合わせた40億円である。質疑応答事例の資産構成では課税売上20億円、非課税売上20億円で、資産の譲渡等の対価は40億円となる。

3.譲渡対価の額が移転した資産負債の純資産価額を超える場合

事業譲渡の譲渡対価の額が移転した資産負債の純資産価額を超えている場合、その差額はいわゆるのれんとして消費税の課税対象になると考える。

4.事業譲渡により課税資産と非課税資産を移転する場合

事業譲渡により課税資産と非課税資産を移転する場合、事業譲渡に係る資産の譲渡等の対価の額を合理的に区分しなければならない。合理的に区分していない場合、時価の比率により資産の譲渡等の対価の額を課税資産と非課税資産で按分する(消令45条3項)。