投資法人の「分配可能額」

税務上一定の要件を満たす場合、投資法人が投資主に支払う配当の額を損金の額に算入することができる。その要件の中に配当等の額の支払額が当該事業年度の配当可能利益の額の90%相当額を超えていることという要件がある(措置法67条の15第1項2号ホ)。この配当可能利益の額は税引前当期純利益金額に一定の調整を加えた金額である(措置規22条の19第2項)。この配当可能利益の額が税務上は「分配可能額」といえる。

一方投資法人は、その投資主に対し、役員会の承認を受けた金銭の分配に係る計算書に基づき、利益を超えて金銭の分配をすることができる(投信法137条)。ただし、貸借対照表上の純資産額から基準純資産額を控除して得た額を超えることはできない(投信法137条但書)。投信法上はこれが「分配可能額」といえる。基準純資産額とは最低純資産額に5,000万円以上を加えた額をいう(投信法124条1項3号、投信令90条)。最低純資産額とは投資法人が常時保持する最低限度の純資産額のことをいう(投信法67条4項、1項6号)。この最低純資産額は投資法人の規約に定められる(投信法67条1項)。最低純資産額は5,000万円を下回ることができない(投信法67条4項、投信令55条)。