投信法における投資法人の「利益」

株式会社は利益を配当することができる。ここでいう利益とは損益計算書における税引後当期純利益である。投資法人も金銭の分配により利益を分配することができるが、投資法人は利益を超えて金銭の分配をすることができる(投信法137条)。この投資法人の「利益」は株式会社における利益とは異なっている。投信法上の投資法人の「利益」とは、貸借対照表上の純資産額が出資総額等の合計額を上回る場合において、当該純資産額から当該出資総額等の合計額を控除して得た額をいう(投信法136条1項)。利益というと損益計算書上の概念であることが多いが、投資法人の場合は貸借対照表上の概念となっている。

ただ令和6年2月1日施行の計算規則により、「利益」計算時の出資総額等の合計額が次の金額の合計額とされた(投資法人計算規則81条の2、投信法80条5項)。

  • 出資総額等(以下の合計額)
    • 出資総額
    • 出資剰余金の額
  • 純資産の部に評価・換算差額等として計上した額

それ以前は評価・換算差額等は含まれていなかったため、「利益」に評価・換算差額等が含まれていた。改正後は「利益」に評価・換算差額等が含まれなくなったため、株式会社における利益剰余金に相当するものとなっている。