自己株式の売却の税務

1.法人税

自己株式を売却した場合、その売却代金の金額だけ資本金等の額が増加する(法令8条1項1号)。自己株式であっても株式である以上、有価証券である。有価証券を売却した場合、通常譲渡損益はその事業年度の損金の額又は益金の額に算入する(法法61条の2第1項)。しかし法人税では有価証券から自己株式が除外されている(法法2条21号)。そのため譲渡損益が生じたとしても損金の額又は益金の額に算入されない。その代わり売却代金の金額だけ資本金等の額が増加することとなる。

2.消費税

有価証券の譲渡は消費税の非課税取引である(消法別表第二2号)。自己株式であっても株式である以上、有価証券である。また法人税と異なり、有価証券から自己株式は除外されていない(消令9条参照)。しかし資産の譲渡とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう(消基通5-2-1)。株式には議決権や利益配当請求権等が認められているが、自己株式にそれらの権利が認められていない。自己株式を売却すると議決権等が復活する。そのため同一性を保持しているとはいえず、自己株式の売却は消費税の課税対象である資産の譲渡に該当しないこととなる(消基通5-2-9、消費税法基本通達逐条解説令和6年版P.208)。