電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程

1.電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を策定しなければならない場合

所得税及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない(電帳法7条)。

保存はいくつかの要件を満たさなければならないが、要件の一つに次のうちいずれかの改ざん防止措置をとるという要件がある(電帳規4条1項)。

  • 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
  • 次に掲げる方法のいずれかにより、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すこと。
    • 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことを当該取引情報の授受後、速やかに行うこと。
    • 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すことをその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
  • 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
    • 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
    • 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
  • 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。

タイムスタンプ等の改ざん防止措置をとることができない場合、電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、その規定に沿った運用を行う必要がある。

2.電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程の内容

正当な理由がない訂正及び削除を防止するための規程であるため、以下の内容を含む規程は電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程に該当する(電帳通7-7(1))。

  • データの訂正削除を原則禁止
  • 業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録及び保存)
  • データ管理責任者及び処理責任者の明確化

取引相手との契約によって防止することも認められている。この場合以下の要件を満たせば該当する(電帳通7-7(2))。

  • 取引相手とデータ訂正等の防止に関する条項を含む契約を行うこと。
  • 事前に上記契約を行うこと。
  • 電子取引の種類を問わないこと

上記の例は例示であり、上記の要件を満たさないからと言って、電子取引に係る訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程に該当しないわけではない(一問一答問34参照)。例えば共通のサービス利用者間の電子取引において、上記に準ずるサービス提供者との契約によってデータの訂正等を防止することも認められる(一問一答問34)。