1.リース期間定額法の意義
リース期間定額法とは、対象となる資産の取得価額を当該資産のリース期間の月数で除して計算した金額に当該事業年度における当該リース期間の月数を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう(法令48条の2第1項6号)。
2.リース期間定額法の対象となる資産
リース期間定額法の対象となる資産は所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したものとされる減価償却資産である。これを(リース期間定額法の対象となる)リース資産という(法令48条の2第5項4号)。リース取引の目的となる資産も法人税法上リース資産ということもあり、注意する必要がある。
3.リース資産の取得価額
内国法人がリース取引を行った場合、そのリース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとされる(法法64条の2第1項)。従ってその取得価額は基本的には①当該資産の購入の代価と②当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額である(法令54条1項1号)。リース料は購入代金の分割返済金と考えられるため、リース資産の取得価額は、原則としてそのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額とされる(法基通7-6の2-9、法人税法基本通達逐条解説(十一訂版)P.742-743)。またリース資産を事業の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、当然リース資産の取得価額に含まれる(法基通7-6の2-9注2)。
リース会計基準との兼ね合いから、リース料の額の合計額のうち利息相当額から成る部分の金額を合理的に区分することができる場合には、当該リース料の額の合計額から当該利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とすることができる(法基通7-6の2-9但書)。
4.リース期間
リース期間とは、リース取引に係る契約において定められているリース資産の賃貸借の期間をいう(法令48条の2第5項7号)
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5.残価保証額がある場合
(1)残価保証額がある場合の取得価額
残価保証額がある場合、リース資産の購入代価は基本的にリース料総額と残価保証額で構成されるため、リース料総額と残価保証額の合計額がリース資産の取得価額となると考える。残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該所有権移転外リース取引に係る賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいう(法令48条の2第5項6号)。
残価保証額は残価設定をする場合に設けられる。例えば購入した場合に10,000,000円かかる耐用年数5年の資産をリース取引により取得した場合、利息や手数料等を除いた基本的な年間のリース料は2,000,000円である(10,000,000円÷5年)。この資産のリース終了時の予想時価が2,000,000円だったとする。リース終了後、この資産は賃貸人に返還されるため、予想通りであれば賃貸人はリース終了時に2,000,000円の資産を完全に取得する。残価を設定する場合、この部分を考慮してリース料を算定する。この場合の基本的な年間のリース料は1,600,000円となる((10,000,000円-2,000,000円)÷5年)。ただし実際のリース期間終了時の時価が2,000,000円を下回る可能性がある。賃貸人から見ればリスクであるため、賃借人はリース期間終了時の時価が2,000,000円を下回ってしまった場合、一般的に差額を負担する。これを残価保証額という。
残価保証額がある場合のリース料総額は8,000,000円であるため、通達を文字通り解釈するのであれば取得価額は8,000,000円である。しかし通達上リース料総額を取得価額としているのはリース料を購入代金の分割返済金としているためである。残価保証額がある場合、その仕組み上残価保証額も購入代価相当額に含まれるため、取得価額もリース料総額と残価保証額の合計額となると考える。後述するように改正前のリース会計基準との兼ね合いから、令和9年3月31日までに締結された所有権移転外リース取引について残価保証額がある場合、法人税法施行令によりリース期間定額法の計算上は残価保証額を控除した金額を取得価額とする。逆に言えば法人税法施行令上も残価保証額は取得価額に含まれていることが前提とされているといえる。
(2)令和9年3月31日までに締結された所有権移転外リース取引の場合
リース期間定額法の対象となるリース資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和9年3月31日以前に締結されたものの取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除した金額をリース期間定額法の計算における取得価額とする(法令48条の2第1項6号かっこ書き)。改正前のリース会計基準では残価保証額を控除した後の金額を償却していくことになっていたため、このような取扱いが定められた。
ただし会計上残価保証額も含めて償却することになったため、税務上も残価保証額も償却できるよう経過措置が設けられた。経過措置の対象となるリース資産を経過リース資産という。経過リース資産とは、リース資産で当該リース資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和9年3月31日以前に締結されたもののうち、その取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれているものをいう(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条2項)。経過リース資産については、当該経過リース資産を有する法人の施行日以後に開始する事業年度において、経過リース期間定額法を選定することができる(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条2項)。経過リース期間定額法を選定する場合、すべての経過リース資産について経過リース期間定額法を選定しなければならない(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条2項但書)。
経過リース期間定額法とは、その経過リース資産の改定取得価額を改定リース期間の月数で除して計算した金額に当該事業年度における当該改定リース期間の月数を乗じて計算した金額を償却限度額として償却する方法をいう(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条2項かっこ書き)。改定取得価額とは、経過リース期間定額法の適用を受ける最初の事業年度開始の時における取得価額から損金の額に算入された減価償却費の累計額を控除した金額をいう(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条3項)。改定リース期間とは、リース期間のうち経過リース期間定額法の適用を受ける最初の事業年度開始の日以後の期間をいう(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条3項)。
経過リース期間定額法を採用しようとする場合、令和9年3月31日後最初に開始する事業年度以前の事業年度に係る申告書の提出期限までに、届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(法令 令和7年3月31日政令121号附則7条3項)。