適格株式分配の税務

1.現物分配法人の税務

(1)譲渡損益

内国法人が適格株式分配により被現物分配法人その他の株主等にその有する資産の移転をしたときは、被現物分配法人その他の株主等にその移転をした資産のその適格株式分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法法62条の5第1項)。

(2)資本金等の額

資本金等の額が適格株式分配によりその株主等に交付した完全子法人の株式の適格株式分配の直前の帳簿価額に相当する金額減少する(法令8条1項16号)。

(3)利益積立金額

適格株式分配の場合、利益積立金額は減少しない(法令9条11号かっこ書き)。

2.被現物分配法人の税務

(1)完全子法人株式の取得価額

被現物分配法人は完全子法人の株式を取得する。適格株式分配は金銭等不交付株式分配であるため、その取得価額は現物分配法人の株式のその株式分配の直前の帳簿価額に株式分配割合を乗じて計算した金額に交付費用を加算した金額となる(法令119条1項8号)。

(2)現物分配法人株式の譲渡損益

内国法人が株式分配により完全子法人の株式等の交付を受けた場合には、現物分配法人株式のうちその完全子法人の株式に対応する部分の譲渡を行ったものとみなして、有価証券の譲渡損益を計上する(法法61条の2第8項前段)。適格株式分配は金銭等不交付株式分配であるため、譲渡対価及び譲渡原価の額は、いずれもその所有株式の株式分配の直前の完全子法人株式対応帳簿価額とされる(法法61条の2第8項後段)。

(3)みなし配当

適格株式分配の場合、みなし配当は生じない。