1.株式交換の意義
株式交換とは、株式会社が発行しているその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう(会社法2条31号)。株式交換を行う株式会社を株式交換完全子会社という(会社法768条1項1号)。株式交換により株式交換完全子会社の株式を取得するのは株式会社又は合同会社に限られ、個人は取得できない。
株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得する会社が株式会社であればその会社を株式交換完全親会社という(会社法767条)。合同会社であれば株式交換完全親合同会社という(会社法770条1項1号)。法人税では株式交換により他の法人の株式を取得したことによって当該法人の発行済株式の全部を有することとなった法人を株式交換完全親法人という(法法2条12号の6の3)。以下では法人税に合わせて株式交換完全親会社と株式交換完全親合同会社を株式交換完全親法人と呼称する。また法人税では株式交換完全子会社を株式交換完全子法人というので、以降は株式交換完全子法人の名称を利用する。
2.株式交換の税務上のポイント
株式交換により株式交換完全親法人は株式交換完全子法人の(株式交換前の)株主から株式交換完全子法人の株式を取得する。そのため株式交換完全親法人は株式交換完全子法人の株主に対し通常その対価を支払う。そのため株式交換完全子法人の株主側では株式交換完全子法人の株式に係る譲渡損益が問題となる。また株式交換完全親法人から取得した対価の取得価額も問題となる。一方株式交換完全親法人側では株式交換完全子法人の株式の取得価額が問題となる。また対価として株式交換完全完全親法人の株式を交付する場合、資本金等の額も増加する。
また組織再編であるため株式交換完全子会社では時価課税が問題となる。
3.株式交換完全子法人の株主の税務
原則として株式交換完全親法人から対価を時価で受け取ったものとされる。そしてその時価を株式交換完全子法人の株式の譲渡対価の額として譲渡損益を計算する。
例外的に金銭等不交付株式交換の場合、譲渡損益は認識されない。金銭等不交付株式交換とは株式交換完全子法人の株主に「株式交換完全親法人」又は「当該株式交換の直前に当該株式交換に係る株式交換完全親法人と当該株式交換完全親法人以外の法人との間に当該法人による完全支配関係がある場合における当該法人」のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されなかった株式交換をいう(法法61条の2第9項、法令119条の7の2第4項)。ただし当該株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産の交付をしても金銭等不交付株式交換と認められる(法法61条の2第9項)。金銭等不交付株主交換の場合、その定義上対価として支払われるのは株式である。その株式の取得価額は当該株式交換に係る株式交換完全子法人の株式の当該株式交換の直前の帳簿価額に相当する金額に交付費用を加算した金額である(法令119条1項9号)。また譲渡損益計算上の譲渡対価の額も株式交換完全子法人の株式の当該金銭等不交付株式交換の直前の帳簿価額に相当する金額とされる(法法61条の2第9項)。そのため譲渡損益は生じない。
適格株式交換はその定義上通常金銭等不交付株式交換に該当する。
4.株式交換完全親法人の税務
(1)株式交換完全子法人の株式の取得価額
非適格株式交換の場合は時価である。
適格株式交換の場合は以下の区分に応じそれぞれに掲げる金額が取得価額となる(法令119条1項10号)。
| ① 当該適格株式交換等の直前において株主の数が50人未満である株式交換完全子法人の株式の取得をした場合 | 当該株式交換完全子法人の株主が有していた当該株式交換完全子法人の株式の当該適格株式交換等の直前の帳簿価額に相当する金額の合計額に取得費用を加算した金額 |
| ② 当該適格株式交換等の直前において株主の数が50人以上である株式交換完全子法人の株式の取得をした場合 | 当該株式交換完全子法人の当該適格株式交換等の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額に取得費用を加算した金額 |
②の場合、以下の点に留意する必要がある。
- 当該適格株式交換等の日以前6月以内に仮決算による中間申告書を提出し、かつ、その提出の日から当該適格株式交換等の日までの間に確定申告書を提出していなかった場合には、当該中間申告書に係る中間申告期間の終了の時が資産の帳簿価格等の基準の時となる。
- 前事業年度等の終了の時から当該適格株式交換等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(法人税法施行令9条1号及び6号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算する。
(2)資本金等の額の増加
株式交換の対価として株式交換完全完全親法人の株式を交付する場合、株式交換契約により増加する資本金が定められる。この分資本金等の額も増加する。
また株式交換により移転を受けた株式交換完全子法人の株式の取得価額から当該株式交換による増加資本金額等を減算した金額が資本金等の額に加算される(法令8条1項10号)。ここでいう増加資本金額等とは以下の金額の合計額をいう。
- 当該株式交換により増加した資本金の額
- 当該株式交換により株式交換完全子法人の株主に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額。ただし当該株主に対する剰余金の配当として交付した金銭その他の資産を除く。
- 次に掲げる当該株式交換の区分に応じそれぞれ次に定める金額。ただし当該株式交換に伴い当該法人が当該法人の当該新株予約権に対応する債権を取得する場合には、その債権の価額を減算する。また金銭等不交付株式交換に該当する適格株式交換等により株式交換完全子法人の株主に株式交換完全支配親法人株式を交付した場合、当該定める金額にその交付した株式交換完全支配親法人株式の当該適格株式交換等の直前の帳簿価額を加算する。
| 適格株式交換等に該当する株式交換 | 当該株式交換完全子法人の当該株式交換により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該株式交換完全子法人のその消滅の直前のその消滅をした新株予約権の帳簿価額に相当する金額 |
| 適格株式交換等に該当しない株式交換 | 当該株式交換完全子法人の当該株式交換により消滅をした新株予約権に代えて当該法人の新株予約権を交付した場合の当該新株予約権の価額に相当する金額 |
適格株式交換等の場合において、取得価額に取得費が加算されるときは、増加する資本金等の額の計算上、取得費を控除する(法令8条1項10号かっこ書き)。
5.株式交換完全子法人の税務
(1)時価評価
内国法人が自己を株式交換等完全子法人とする非適格株式交換を行った場合、株式交換の直前に当該内国法人と当該株式交換に係る株式交換完全親法人との間に完全支配関係があるときを除き、当該内国法人が当該非適格株式交換等の直前の時において有する時価評価資産の評価益の額又は評価損の額は、当該非適格株式交換等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する(法法62条の9第1項)。非適格株式交換の場合であっても時価評価をしない場合があることに注意する必要がある。
適格株式交換の場合、時価評価を行わない。
(2)その他
株式交換については適格・非適格問わず、欠損金の使用制限等の規定はない。