共同事業要件による場合の適格合併の要件

1.前書き

次の要件を満たす場合、完全支配関係・支配関係がなくとも適格合併に該当する。

  • ① 金銭等不交付要件
  • ② 事業関連要件
  • ③ 事業規模要件又は経営参画要件
  • ④ 従業者従事要件
  • ⑤ 事業継続要件
  • ⑥ 支配株主株式継続保有要件

ただし以下のいずれに該当する場合、⑥の支配株主株式継続保有要件は満たさなくて他の要件を満たせば適格合併となる(法令4条の3第4項本文かっこ書き)。

  • 当該合併の直前に当該合併に係る被合併法人の全てについて他の者との間に当該他の者による支配関係がない場合
  • 当該合併に係る合併法人が資本若しくは出資を有しない法人である場合

また当該合併に係る被合併法人及び合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該合併に係る被合併法人の全て)が法別表第二又は別表第三に掲げる法人のうち、その組合員である事業者又は消費者の相互扶助を目的とする組合その他これに類する団体として財務省令で定めるものである場合、③の事業規模要件又は経営参画要件を満たさなくても他の要件を満たせば適格合併となる(法令4条の3第4項本文かっこ書き)。対象となる法人は法人税法施行規則3条の2に定められている。

2.金銭等不交付要件

適格合併となるには金銭等不交付要件を満たさなければならない(法法2条12号の8本文)。これは完全支配関係がある場合の適格合併の要件、支配関係がある場合の適格合併の要件と同様であるため、別の記事「合併の場合の金銭等不交付要件」を参照。

3.事業関連要件

事業関連要件とは合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人の合併事業とが相互に関連するものであることをいう(法令4条の3第4項1号)。被合併法人の被合併事業とは当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業をいい、合併法人の合併事業とは当該合併法人の当該合併前に行う事業のうちのいずれかの事業をいう。当該合併が新設合併である場合にあっては、合併法人の合併事業とは他の被合併法人の被合併事業をいう。

4.事業規模要件又は経営参画要件

事業規模要件又は経営参画要件のいずれかを満たさなければならない。

事業規模要件とは、合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人の合併事業で当該被合併事業と関連する事業のそれぞれの売上金額、当該被合併事業と合併事業のそれぞれの従業者の数、当該被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあっては、当該被合併法人と他の被合併法人)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことをいう(法令4条の3第4項2号)。

経営参画要件とは、当該合併前の当該被合併法人の特定役員のいずれかと当該合併法人(当該合併が新設合併である場合にあっては、他の被合併法人)の特定役員のいずれかとが当該合併後に当該合併に係る合併法人の特定役員となることが見込まれていることをいう(法令4条の3第4項2号)。特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。

5.従業者従事要件

従業者従事要件とは、合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること(法令4条の3第4項3号)。従事する業務は以下の業務でもよい(法令4条の3第4項3号かっこ書き)。

  • 当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務
  • 当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の被合併事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務

6.事業継続要件

事業継続要件とは、合併に係る被合併法人の被合併事業で、当該合併に係る合併法人の合併事業と関連する事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人において引き続き行われることが見込まれていることをいう(法令4条の3第4項4号)。被合併法人の被合併事業で、当該合併に係る合併法人の合併事業と関連する事業を引き続き行うのは以下の法人でもよい(法令4条の3第4項4号かっこ書き)。

  • 当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人
  • 当該合併後に行われる適格合併により当該被合併事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人

7.支配株主株式継続保有要件

支配株主株式継続保有要件とは、合併により当該合併に係る合併法人又は合併親法人のうちいずれか一の法人の株式で、議決権があるものが交付される場合、支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることをいう(法令4条の3第4項5号)。

この場合において支配株主に交付される当該合併に係る合併法人又は合併親法人のうちいずれか一の法人の株式を対価株式という(法令4条の3第4項5号かっこ書き)。

支配株主とは当該合併の直前に当該合併に係る被合併法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がある場合における当該他の者及び当該他の者による支配関係があるものをいう(法令4条の3第4項5号)。ただし当該合併に係る合併法人は当該他の者による支配関係があっても、支配株主から除外される(法令4条の3第4項5号かっこ書き)。

当該合併後に行われる適格合併により当該対価株式が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、当該適格合併に係る合併法人により継続して保有されることが見込まれていればよい(法令4条の3第4項5号かっこ書き)。

また当該合併後に当該対価株式に係る合併法人又は合併親法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該合併の時から当該適格合併の直前の時まで当該対価株式の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていればよい(法令4条の3第4項5号かっこ書き)。

当該合併が無対価合併である場合にあっては、支配株主が当該合併の直後に保有する当該合併に係る合併法人の株式の数に支配株主が当該合併の直後に保有する当該合併に係る合併法人の株式の帳簿価額として財務省令で定める金額のうちに支配株主が当該合併の直前に保有していた当該合併に係る被合併法人の株式の帳簿価額の占める割合を乗じて計算した数の当該合併に係る合併法人の株式のみが対価株式となる(法令4条の3第4項5号かっこ書き)。支配株主が当該合併の直後に保有する当該合併に係る合併法人の株式の帳簿価額として財務省令で定める金額は、適格合併に該当するものとした場合における当該合併の直後の当該合併に係る合併法人の株式又は出資の帳簿価額である(法規3条の2の2第1項)。

8.無対価合併の場合

合併が無対価合併である場合、以下のいずれかの要件も満たさなければならない(法令4条の3第4項本文かっこ書き、2項2号ロ)。

  • 被合併法人及び合併法人の株主等の全てについて、その者の当該被合併法人の保有割合と当該者の当該合併法人の保有割合が等しいこと
    • ここでいう被合併法人の保有割合とは、「当該者が保有する当該被合併法人の株式又は出資の数又は金額」の「当該被合併法人の発行済株式等の総数又は総額」のうちに占める割合をいう。当該合併法人が当該被合併法人の株式又は出資を有している場合、その株式又は出資を発行済株式等から除外して計算する。
    • ここでいう合併法人の保有割合とは、「当該者が保有する当該合併法人の株式又は出資の数又は金額」の「当該合併法人の発行済株式等の総数又は総額」のうちに占める割合をいう。当該被合併法人が当該合併法人の株式又は出資を有している場合、その株式又は出資を発行済株式等から除外して計算する。
    • 判定の対象となる株主等には当該合併に係る被合併法人及び合併法人は含まれない。
  • 当該無対価合併に係る被合併法人の全て又は合併法人が資本又は出資を有しない法人であること