賃上げ促進税制における継続雇用者の意義

1.概要

賃上げ促進税制における継続雇用者とは以下の要件をすべて満たす者をいう(措置法42条12の5第5項4号等)。

  • 国内雇用者であること
  • 役員と特殊の関係のある者でないこと
  • 雇用保険の一般被保険者であること
  • 高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象でないこと
  • 当期及び前期の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けていること

2.国内雇用者であること

国内雇用者とは、法人の使用人のうち当該法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者で、当該事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいう(措置法42条12の5第5項2号、措置令27条の12の5第6項)。

当該法人の使用人としての職務を有する役員は国内雇用者に該当しない(措置法42条12の5第5項2号かっこ書き)。

3.役員と特殊の関係のある者でないこと

役員と特殊の関係のある者は国内雇用者に該当せず、継続雇用者とならない(措置法42条12の5第5項2号)。役員と特殊の関係のある者とは以下の者をいう(措置令27条の12の5第5項)。

  • ① 役員の親族
  • ② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  • ③ ①②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
  • ④ ①②と生計を一にするこれらの者の親族

4.雇用保険の一般被保険者であること

継続雇用者は雇用保険の一般被保険者でなければならない(措置令27条の12の5第7項)。雇用保険の一般被保険者とは、雇用保険の被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう(雇用保険法60条の2第1項1号)。

5.高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象でないこと

高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象である者は継続雇用者とならない(措置令27条の12の5第7項)。65歳未満の定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、高年齢者雇用確保措置のいずれかを講じなければならない(高年齢者雇用安定法9条1項)。高年齢者雇用確保措置とは以下のものをいう(高年齢者雇用安定法9条1項)。

  • 定年の引上げ
  • 継続雇用制度の導入
  • 定年の定めの廃止

このうち継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう(高年齢者雇用安定法9条1項2号)。この制度の対象となる者は継続雇用者とならない。

高年齢者雇用安定法における高年齢者とは55歳以上の者をいう(高年齢者雇用安定法2条1項、高年齢者雇用安定規1条)。雇用保険の高年齢被保険者は65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう(雇用保険法37条の2第1項)。そのため雇用保険法の高年齢被保険者でない者であっても、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象者であることはありうる。

6.当期及び前期の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けていること

(1)原則

継続雇用者は国内雇用者として当期及び前期の期間内の各月分の当該法人の給与等の支給を受けた者でなければならない(措置令27条の12の5第7項1号)。

給与等とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与をいう(措置法42条12の5第5項3号、所法28条1項)。給与として課税される手当等も含まれるため、当該法人が産休・育休手当等を支給する場合はその支給をした月も給与等の支給を受けたものとして判定する。

各月分国内雇用者として給与等の支給を受けていなければならないため、例えば当期の途中において役員となった者は継続雇用者とならない。

(2)当期の月数と前期の月数とが異なる場合

前期の月数が当期の月数に満たない場合、継続雇用者は当該法人の国内雇用者として当期及び前一年事業年度特定期間内の各月分の当該法人の給与等の支給を受けた者でなければならない(措置令27条の12の5第7項2号イ)。原則として前一年事業年度特定期間とは前一年事業年度の期間をいい、前一年事業年度とは当期の開始の日前1年以内に終了した各事業年度をいう(措置令27条の12の5第7項2号イ)。当期が1年に満たない場合には、前一年事業年度は当期の開始の日前から当期の期間以内に終了した各事業年度をいう(措置令27条の12の5第7項2号イ)。また当期の開始の日から起算して一年前の日又は設立の日を含む前一年事業年度にあっては、当該一年前の日又は当該設立の日のいずれか遅い日から当該前一年事業年度終了の日までの期間が前一年事業年度の期間となる(措置令27条の12の5第7項2号イ)。

前事業年度の月数が適用年度の月数を超える場合、継続雇用者は当該法人の国内雇用者として当期の期間及び前事業年度特定期間内の各月分の当該法人の給与等の支給を受けた者でなければならない(措置令27条の12の5第7項2号ロ)。前事業年度特定期間とは、前期の期間のうち当期の期間に相当する期間で前期終了の日に終了する期間をいう(措置令27条の12の5第7項2号ロ)。