経営が悪化した会社に対する貸付金の評価

貸付金の価額は、元本の価額と利息の価額との合計額によって評価する(評基通204)。ただしその貸付金の全部又は一部が、課税時期において一定の形式基準に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときは、その回収不能等となる金額は元本の価額に算入しない(評基通205)。

単に経営が悪化しているだけでは基本的に形式基準に該当しない。形式基準には業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているときが含まれる。事業の廃止又は6か月以上の休業が要件であるため、事業を継続している場合は経営が悪化していてもこの形式基準には該当しない。また判断時点は課税時期であるため、課税時期以降に破産手続の開始の決定等があっても形式基準に該当しない。

形式基準に該当しない場合であっても、貸付金の回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときは、回収不能等となる金額を元本の価額から控除する。ただ単に借入金が多いことのみともって直ちに回収の見込みがないことが客観的に明白であるとまではいえない。リスケがなされている場合であっても、リスケ後の返済条件に従った返済が行われている限りそれ以上の返済を求められることはなく事業を継続できるため、リスケされていても回収が不可能又は著しく困難であると見込まれる場合に該当しない。