建物の法定耐用年数

1.構造と用途による法定耐用年数の決定

建物の法定耐用年数は構造及び用途により定められている。例えば鉄骨鉄筋コンクリート造で住宅用の建物の法定耐用年数は47年である。同じ鉄骨鉄筋コンクリート造であっても事務所用であれば法定耐用年数は50年である。また住宅用建物であっても、木造の建物であれば法定耐用年数は22年である。

2.複数の構造により構成されている場合

建物がどの構造に属するかは、原則として、その主要柱、耐力壁又ははり等その建物の主要部分により判定する(耐通1-2-1)。

ただし一の建物が2以上の構造により構成されている場合において、構造別に区分することができ、かつ、それぞれが社会通念上別の建物とみられるものであるときは、その建物については、それぞれの構造の異なるごとに区分して、その構造について定められた耐用年数を適用する(耐通1-2-2)。

3.複数の用途に使用される場合

同一の減価償却資産について、その用途により異なる耐用年数が定められている場合において、減価償却資産が2以上の用途に共通して使用されているときは、その減価償却資産の用途については、原則として、その使用目的、使用の状況等より勘案して合理的に判定する(耐通1-1-1)。

ただし一の建物を2以上の用途に使用するため、当該建物の一部について特別な内部造作その他の施設をしている場合には、当該建物について2以上の用途ごとに区分して、その用途について定められている耐用年数をそれぞれ適用することができる(耐通1-2-4本文)。この場合、建物に附属して設けられている電気室、機械室、車庫又は駐車場等のようにその建物の機能を果たすに必要な補助的部分については、専ら区分した用途に供されている部分を除き、これを用途ごとに区分しないで、当該建物の主たる用途について定められている耐用年数を適用する(耐通1-2-4但書)。

4.用途変更した場合

従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合には、原則として転用前と転用後の期間に分けそれぞれの用途に応じた耐用年数により償却限度額を計算する(平成19年6月22日付課法2-7ほか1課共同「減価償却に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明 第1 3)。ただし計算の簡便性の観点から転用した日の属する事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額を計算することも認められている(法基通7-4-2)。

なお用途変更の費用は原則として資本的支出に該当する(法基通7-8-1)。その資本的支出に係る部分の減価償却資産についても、現に適用している耐用年数により償却限度額を計算する(耐通1-1-2)。従って用途変更に係る資本的支出の法定耐用年数は用途変更後の用途により判定するものと考える。