適格分社型分割の税務

1.分割承継法人の税務

(1)資産負債の取得価額

内国法人が適格分社型分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合には、当該移転を受けた資産及び負債の取得価額は、帳簿価額に相当する金額である(法令123条の4)。その取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算する(法令123条の4かっこ書き)。

(2)資産調整勘定等

資産調整勘定等は適格分社型分割では生じない。

(3)資本金等の額

分割に伴って資本金の額が増加した場合、同額資本金等の額が増加する(法令8条1項1号)。

上記のほか移転資産・移転負債の純資産価額から当該分社型分割による増加資本金額等を減算した金額が資本金等の額の増加額となる(法令8条1項7号)。純資産価額は当該適格分社型分割に係る分割法人の当該適格分社型分割の直前の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額を減算した金額である(法令8条1項7号ニ)。増加資本金額等とは、その分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいう(法令8条1項7号かっこ書き)。

2.分割法人の税務

(1)移転資産・移転負債の譲渡損益

内国法人が適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産又は負債の移転をしたときは、当該分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法法62条の3第1項)。

(2)分割対価の取得価額

適格分社型分割により交付を受けた分割承継法人又は分割承継親法人の株式の取得価額は、当該適格分社型分割の直前の移転資産の帳簿価額から移転負債の帳簿価額を減算した金額である(法令119条1項7号)。当該株式の交付を受けるために要した費用がある場合には、その費用の額を加算する(法令119条1項7号かっこ書き)。