退職給与負債調整勘定の意義等

1.退職給与負債調整勘定の意義

退職給与負債調整勘定とは、内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人等から資産又は負債の移転を受け、当該内国法人が当該被合併法人等から引継ぎを受けた従業者につき退職給与債務引受けをした場合における退職給与債務引受額をいう(法法62条の8第2項1号)。

退職給与債務引受けの対象とされた従業者を退職給与引受従業者という(法法62条の8第6項)。

2.退職給与負債調整勘定の金額

退職給与負債調整勘定の金額は、当該内国法人の非適格合併等の時における退職給与引受従業者に係る退職給付引当金額に相当する金額である(法令123条の10第7項)。退職給付引当金額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って算定され、かつ、その額につき申告書に添付する明細書に記載がある場合の当該退職給付引当金の額に限られる(法令123条の10第7項かっこ書き)。

3.退職給与負債調整勘定の減額

退職給与負債調整勘定の金額を有する内国法人は、退職給与引受従業者が退職その他の事由により当該内国法人の従業者でなくなった場合又は退職給与引受従業者に対して退職給与を支給する場合、退職給与負債調整勘定の金額のうちこれらの退職給与引受従業者に係る部分の金額として一定の方法により計算した金額を減額しなければならない(法法62条の8第6項)。この規定により減額すべきこととなった退職給与負債調整勘定の金額に相当する金額は、その減額すべきこととなった日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する(法法62条の8第8項)。

減額すべき金額は、減額対象従業者に係る退職給与負債調整勘定の金額のうち当該減額対象従業者に係る退職給与負債相当額の合計額である(法令123条の10第7項)。減額対象従業者とは退職給与引受従業者のうち、退職給与負債調整勘定を減額することとなる事業年度において当該内国法人の従業者でなくなったもの又は退職給与の支給を受けたものをいう(法令123条の10第7項)。減額対象従業者に係る退職給与負債相当額の合計額は、原則として当該退職給与負債調整勘定の金額に係る当初計上額を当該退職給与引受従業者の数で除して計算する(法令123条の10第7項)。例外的に内国法人が退職給与引受従業者ごとの退職給付引当金額の計算に関する明細を記載した書類を保存している場合には、当該減額対象従業者に係る退職給与負債相当額は当該退職給与引受従業者ごとの退職給付引当金額に相当する金額とすることができる(法令123条の10第12項)。