特定施設入居者生活介護の消費税

特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者について、当該特定施設が提供するサービスの内容等を定めた計画に基づき行われる以下のものをいう(介保法8条11項、介保規15条)。

  • 入浴、排せつ、食事等の介護
  • 洗濯、掃除等の家事
  • 生活等に関する相談及び助言
  • 特定施設に入居している要介護者に必要な日常生活上の世話
  • 機能訓練
  • 療養上の世話

なお、ここでいう特定施設とは、以下の施設であって地域密着型特定施設でないものをいう(介保法8条11項、介保規15条)。

  • 有料老人ホーム
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム

特定施設入居者生活介護は介護保険法上居宅サービスに該当する(介保法8条1項)。居宅サービスのうち一定のものは消費税が原則として非課税とされる(消法別表第二 七イ)。特定施設入居者生活介護は消費税が原則として非課税とされる居宅サービスに該当する(消令14条の2第1項)。

非課税の対象となる介護保険サービスは介護保険の対象に限る規定はない。そのため介護保険法で定義される居宅サービス等に該当すれば、介護保険の対象でなくても原則として非課税とされる(消基通6-7-2)。例えば日常生活に要する費用は介護保険の対象とならないが、介護保険サービスの性質上、日常生活に要する費用に係るサービスを提供することが通常であるものは、消費税が非課税となる(質疑応答事例「『日常生活に要する費用』の取扱い」)。

一方特定施設入居者生活介護を含む居宅サービスであっても、特別の居室の提供その他の財務大臣が指定する資産の譲渡等は非課税とならない(消令14条の2第1項かっこ書き)。特定施設入居者生活介護の場合、利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に係るものは非課税とならない(平成12年2月10日大蔵省告示第27号別表第一(九)、指定居宅サービス等に係る基準省令182条3項1号)

特定施設入居者生活介護に関連するサービスが非課税かどうか判断するには①特定施設入居者生活介護に含まれるサービスなのか、②消費税の非課税から除外されるサービスに該当するのかという2点から考える必要がある。①を考える上では特定施設入居者生活介護の定義が参考になると思われる。すなわち以下のいずれかに該当すれば特定施設入居者生活介護に含まれ、非課税の除外規定に該当しなければ、非課税となると考えられる。

  • 入浴、排せつ、食事等の介護
  • 洗濯、掃除等の家事
  • 生活等に関する相談及び助言
  • 特定施設に入居している要介護者に必要な日常生活上の世話
  • 機能訓練
  • 療養上の世話

裁決等では食事の提供は特定施設入居者生活介護に含まれないため、非課税とならないとされる。洗濯・ドライクリーニングは日常の世話に含まれ、かつ、利用者の特別な希望により行われるサービスではないため、非課税とした裁決事例がある(平成29年4月20日裁決)。同じ裁決では通院介助については日常の世話に含まれるが、利用者の特別の希望により行われるサービスとされ、非課税とされなかった。また寝具の貸与や退去時の居室清掃等はそもそも特定施設入居者生活介護に含まれないものとして非課税とされなかった。