居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物で、高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものをいう(消法30条10項)。高額特定資産とは棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その価額が1,000万円以上のものをいう(消法14条の4第1項、消令25条の5第1項)。従って居住用賃貸建物には調整対象固定資産に該当するものもある。
居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合、仕入税額控除の調整を受けることができる。一方非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合も仕入税額控除の調整を受けることができる。
要件としては似ており重複しそうな印象を受けるが、居住用賃貸建物の規定が優先的に適用される。非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入税額控除の調整は調整対象固定資産につき、あくまで仕入税額控除の適用を受けるものの、非課税資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入に係る消費税額がないこととした場合に適用がある(消法35条1項)。居住用賃貸建物の課税仕入れを行った場合、そもそもその居住用賃貸建物については仕入税額控除の適用はない(消法30条10項)。そのため居住用賃貸建物が調整対象固定資産に該当する場合であっても、その居住用賃貸建物を課税賃貸用に供しても調整対象固定資産の転用の規定は適用されない。