1.基本
(1)継続雇用者給与等支給額増加割合の意義
継続雇用者給与等支給増加割合は、以下の算式により計算した割合である(措法42条の12の5第1項)。
(継続雇用者給与等支給額 – 継続雇用者比較給与等支給額) ÷ 継続雇用者比較給与等支給額
継続雇用者給与等支給額と継続雇用者比較給与等支給額がポイントであるが、前提として継続雇用者の意義が重要である。
(2)継続雇用者の意義
継続雇用者とは原則として適用年度及びその前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者をいう(措法42条の12の5第5項4号、措令27条の12の5第7項1号)。国内雇用者は雇用保険の一般被保険者に限られる(措令27条の12の5第7項かっこ書き)。ただし雇用保険の一般被保険者であっても、継続雇用制度の対象である者は除かれる(措令27条の12の5第7項かっこ書き)。
(3)継続雇用者給与等支給額
継続雇用者給与等支給額とは、雇用者給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額をいう(措法42条の12の5第5項4号、措令27条の12の5第8項)。雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう(措法42条の12の5第5項9号)。
(4)継続雇用者比較給与等支給額
継続雇用者比較給与等支給額とは、原則として前事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額をいう(措令27条の12の5第9項1号)。給与等支給額とは、法人の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう(措令27条の12の5第9項1号かっこ書き)。
2.前事業年度の月数が適用年度の月数が異なる場合
前事業年度の月数が適用年度の月数と異なる場合、継続雇用者の範囲と継続雇用者比較給与等支給額の計算方法が変わる。
(1)前事業年度の月数が適用年度の月数に満たない場合
前事業年度の月数が適用年度の月数に満たない場合、当該法人の国内雇用者として当該適用年度の期間及び前一年事業年度の期間内の各月分の当該法人の給与等の支給を受けた者が継続雇用者となる(措令27条の12の5第7項2号イ)。
前一年事業年度とは原則として当該適用年度開始の日前一年以内に終了した各事業年度をいう(措令27条の12の5第7項2号イ)。例外的に当該適用年度が1年に満たない場合、当該適用年度開始の日前から当該適用年度と同等の期間以内に終了した各事業年度が前一年事業年度となる(措令27条の12の5第7項2号イ)。
継続雇用者比較給与等支給額は、前一年事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額(当該前一年事業年度の前一年事業年度特定期間に対応する金額に限る。)の合計額に適用年度の月数を乗じてこれを前一年事業年度特定期間の月数の合計数で除して計算した金額となる(措令27条の12の5第9項2号)。
(2)前事業年度の月数が適用年度の月数を超える場合
前事業年度の月数が適用年度の月数を超える場合、当該法人の国内雇用者として当該適用年度の期間及び前事業年度特定期間内の各月分の当該法人の給与等の支給を受けた者が継続雇用者となる(措令27条の12の5第7項2号ロ)。
前事業年度特定期間とは、当該前事業年度の期間のうち当該適用年度の期間に相当する期間で当該前事業年度終了の日に終了する期間をいう(措令27条の12の5第7項2号ロ)。
継続雇用者比較給与等支給額は、前事業年度に係る給与等支給額のうち継続雇用者に係る金額(前事業年度特定期間に対応する金額に限る。)となる(措令27条の12の5第9項2号)。