1.株式交付の定義
株式会社が他の株式会社をその子会社とするためにその他の株式会社の株式を譲り受け、その株式の譲渡人に対して対価として株式会社の株式を交付することをいう(会社法2条32号の2)。例えばX社がY社の株式を100%保有している場合において、A社が株式交付を利用しY社を子会社化する場合、X社からY社株式を60%取得しその対価としてA社株式を交付する。
株式交付をする株式会社を株式交付親会社という(会社法774条の3第1項1号)。前述の例でいえばA社が株式交付親会社に該当する。株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式を発行する株式会社を株式交付子会社という(会社法774条の3第1項1号)。前述の例ではY社が株式交付子会社に該当する。
2.株式交付親会社の税務
(1)株式交付子会社の株式の取得価額
株式交付親会社は株式交付により株式交付子会社の株式を取得する。その取得価額は取得時の時価である。
(2)資本金等の額
株式交付親会社は株式交付により新しい株式を発行するため、資本金が増加する。それに伴い資本金等の額が増加する(法令8条1項)。また株式の発行をした場合、資本金等の額が以下の算式により計算した金額増加する(法令8条1項1号)。
株式の発行により払い込まれた金銭の額 + 金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額 – その株式の発行により増加した資本金の額
3.株式交付子会社の株主の税務
(1)株式交付子会社の株式の譲渡損益
株式交付子会社の株主は株式交付によりその有する株式交付子会社の株式を株式交付親会社に譲渡し、その対価として株式交付親会社の株式を取得する。そのため有価証券の譲渡損益が生じる。
譲渡対価は原則として取得する株式交付親会社株式の時価である。例外的に一定の株式交付に該当する場合、譲渡対価は株式交付直前の株式交付子会社の株式の簿価相当額に株式交付割合を乗じて計算した金額と株式交付により交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額とされる(措法37条の13の4第1項、66条の2第1項)。この例外が適用される場合において、対価が株式交付親会社の株式のみであるときは譲渡対価は株式交付子会社の株式の簿価相当額となり、譲渡損益は生じない。
(2)株式交付親会社の株式の取得価額
株式交付により取得した株式交付親会社の株式の取得価額は原則として時価である。例外的に一定の株式交付に該当する場合、株式交付により譲渡した株式交付子会社の株式の取得価額に株式交付割合を乗じて計算した金額が取得価額となる(措令25条の12の4第4項1号イ、39条の10の2第3項1号)。