資本割には特定子会社の株式等に係る控除措置がある。これは総資産のうちに特定子会社の株式等の占める割合が50%超である場合、課税標準から資本金等のうちその特定子会社の株式等に対応する部分の金額を控除する特例である。この特例の計算時に繰延税金資産があっても除外せず、そのまま計算する。すなわち特定子会社の株式等に係る控除措置の適用を受ける場合、税効果会計が資本割の計算に影響を与える。また資本割を含めた未払事業税が税効果会計の計算に影響を与えるため、循環構造となっている。お互いに与える影響の金額は小さくなっていくため、最終的に収束するが、何度か税金計算を繰り返す必要がある。
特例の対象となる特定子会社とは、内国法人が発行済株式等の総数の50%を超える数の株式等を直接又は間接に保有する他の法人をいう(地法72条の21第6項2号)。この特定子会社の株式等の帳簿価額の合計額が総資産の帳簿価額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額の50%を超える場合、特例が適用される(地法72条の21第6項)。地方税法施行令20条の2の22で総資産の帳簿価額の計算方法が定められている。この中に繰延税金資産を控除するという定めはない。そのため総資産に繰延税金資産が計上されていた場合、そのままこの特例による控除額を計算することになる(取扱通知4の6の8(1))。
その一方特定子会社の株式等に係る控除措置は繰延税金資産の計算に影響を与える。事業税は申告納税方式の税金である。申告納税方式の税金は申告書を提出した事業年度の損金の額に算入する。決算ではその事業年度の利益に対する事業税を未払計上し、その事業年度の費用とする。しかし法人税等の計算上は翌事業年度の損金に算入される。事業税は法人税と異なり損金に算入できる税金であるため、将来減算一時差異となり、税効果会計の計算に影響を与える。
以上のように資本割における特定子会社の特例の適用を受ける場合、資本割の計算は税効果会計の計算に影響を与え、税効果会計の計算は資本割の計算に影響を与えるという循環構造となっている。一方が他方に与える影響の金額は他方の影響額に資本割の税率ないし実効税率を乗じた金額であるため、何回か計算すれば影響額が0となり、金額が一定する。