1.リース取引の定義
(1)基本的な定義
リース取引とは、資産の賃貸借で、次に掲げる要件に該当するものをいう(法法64条の2第3項)。
- 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること(ノンキャンセラブル)。
- 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること(フルペイアウト)。
(2)ノンキャンセラブル要件
以下の契約はノンキャンセラブル要件を満たすものとされる(法基通15-1-1)。
- 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として100分の90以上)を支払うこととされているもの
- 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの
- イ 賃貸借資産を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。
- ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。
資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部に相当する金額を賃借人が支払うこととなる金額に加算する(法基通15-1-2(2))。
(3)フルペイアウト要件
資産の賃貸借につき、その賃貸借期間(当該資産の賃貸借に係る契約の解除をすることができないものとされている期間に限る。)において賃借人が支払う賃借料の金額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額(当該資産を事業の用に供するために要する費用の額を含む。)のおおむね90%相当額を超える場合には、当該資産の賃貸借は、資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることに該当するものとされる(法令131条の2第2項)。
おおむね90%相当額を超えるかどうかの判定にあたっては以下のように取り扱われる(法基通15-1-2)。
- 資産の賃貸借に係る契約等において、賃借人が賃貸借資産を購入する権利を有し、当該権利の行使が確実であると認められる場合には、当該権利の行使により購入するときの購入価額をリース料の額に加算する。この場合、その契約書等に当該購入価額についての定めがないときは、残価に相当する金額を購入価額とする。残価とは、賃貸人におけるリース料の額の算定に当たって賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用(賃貸借資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額をいう。
- 資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部に相当する金額を賃借人が支払うこととなる金額に加算する。
- 賃貸借資産の取得者である賃貸人に対し交付された補助金等(当該補助金等の交付に当たり賃借料の減額が条件とされているものに限る。)がある場合には、「賃借人が支払う賃借料の金額の合計額」に、当該減額相当額を加算した金額による。この場合、「減額相当額」は、賃借人における賃貸借資産の取得価額には算入しない。
(4)リース取引から除外される土地の賃貸借
土地の賃貸借のうち、次のいずれかに該当するものはリース取引から除外される(法法64条の2第3項かっこ書き、法令131条の2第1項、法基通15-1-3)。
- 土地の賃貸借のうち、借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入の規定の適用のあるもの
- 土地の賃貸借のうち、次に掲げる要件(これらに準ずるものを含む。)のいずれにも該当しないもの
- 当該土地の賃貸借に係る契約において定められている当該賃貸借期間の終了の時又は当該賃貸借期間の中途において、当該土地が無償又は名目的な対価の額で当該賃貸借に係る賃借人に譲渡されるものであること。
- 当該土地の賃貸借に係る賃借人に対し、賃貸借期間終了の時又は賃貸借期間の中途において当該土地を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。
- 賃貸借期間の終了後、無償と変わらない名目的な賃料によって更新することが賃貸借契約において定められている賃貸借(契約書上そのことが明示されていない賃貸借であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)
- 賃貸人に対してその賃貸借に係る土地の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人の賃借料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっている賃貸借