適格現物分配の税務

1.適格現物分配の意義

内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前においてその内国法人との間に完全支配関係がある普通法人又は協同組合等のみであるものをいう(法法2条1項12号の15)。

2.現物分配法人の税務

(1)移転資産の譲渡損益

内国法人が適格現物分配により被現物分配法人にその有する資産の移転をしたときは、被現物分配法人に移転をした資産の適格現物分配直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する(法法62条の5第3項)。

(2)利益積立金額

利益積立金額が適格現物分配に係る資産のその交付の直前の帳簿価額の合計額減少する(法令9条8号)。

3.被現物分配法人の税務

(1)移転を受けた資産の取得価額

内国法人が適格現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた場合には、その資産の取得価額は、非適格分配直前の帳簿価額に相当する金額となる(法令123条の6第1項)。

(2)益金不算入

内国法人が適格現物分配により資産の移転を受けたことにより生ずる収益の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない(法法62条の5第4項)。

(3)利益積立金額

利益積立金額が現物分配法人から交付を受けた資産のその適格現物分配の直前の帳簿価額に相当する金額増加する(法令9条4号)。