相続時精算課税と申告ミス

1.申告漏れの財産がある場合

(1)贈与を受けた年の取扱い

相続時精算課税の特別控除は、期限内申告書に控除を受ける金額等の記載がある場合に限り適用される(相法21条の12第2項)。そのため申告が漏れた財産については特別控除は適用されない(質疑応答事例「相続時精算課税に係る贈与により取得した財産について申告漏れ等が判明し修正申告を行う場合の特別控除の適用(令和6年1月1日以後の贈与の場合)」)。

(2)相続時の取扱い

①判明が除斥期間内の場合

修正申告をすることとなる。

②判明が除斥期間経過後の場合

相続税の課税価格への加算の対象となる財産は実際に贈与税が課税されているか問わない(相基通21の15-1)。従って申告漏れとなったまま除斥期間が経過した財産についても相続税の課税価格への加算の対象となる。

また相続時精算課税の適用を受ける場合、相続税額から相続時精算課税に係る贈与税額を控除する(相法21条の15第3項)。控除する贈与税額は実際の贈与税額である(相基通21の15-3)。除斥期間の経過により納付がなかった部分は控除できない。

2.評価誤りがあった場合

(1)贈与を受けた年の取扱い

税務署長は、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載をした書類の提出があった場合に限り、相続時精算課税の特別控除を適用することができる(相法21条の12第3項)。そのため贈与財産の評価額に誤りがあり、過少となっている場合において、修正申告書の提出があったときは、修正申告により増加する課税価格についても特別控除の適用を受けることができる(質疑応答事例「相続時精算課税に係る贈与により取得した財産について申告漏れ等が判明し修正申告を行う場合の特別控除の適用(令和6年1月1日以後の贈与の場合)」)。

(2)相続時の取扱い

①判明が除斥期間内の場合

修正申告等をすることとなる。

②判明が除斥期間経過後の場合

相続税の計算上相続時精算課税の適用を受ける財産の価額は贈与時の価額である(相基通21の15-2)。従って評価誤りがあった場合でも正しい評価額で相続税の計算を行う。贈与税の除斥期間経過後に評価誤りが判明した場合でも同様である(質疑応答事例「相続時精算課税に係る贈与により取得した財産について贈与税の除斥期間経過後に評価誤り等が判明した場合の相続税の課税価格に加算される金額(令和6年1月1日以後の贈与の場合)」)。

また相続時精算課税の適用を受ける場合、相続税額から相続時精算課税に係る贈与税額を控除する(相法21条の15第3項)。控除する贈与税額は実際の贈与税額である(相基通21の15-3)。除斥期間の経過により納付等がなかった部分は控除等できない。