公共法人等に係る非課税

1.基本的な内容

所得税法別表第一に掲げる内国法人が支払を受ける以下のものについては、原則として所得税は課税されない(所法11条1項)。

  • 利子等
  • 配当等
  • 給付補塡金
  • 利息
  • 利益
  • 差益
  • 利益の分配(貸付信託の受益権の収益の分配にあっては、当該内国法人が当該受益権を引き続き所有していた期間に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する部分に限る。)

例外的に一定の届出等が必要となるものがある。

2.対象となる内国法人

公共法人等に係る非課税の規定の対象となる内国法人は所得税法別表第一に掲げられている法人である。実務上は以下の法人が主であると思われる。

  • 公益財団法人
  • 公益社団法人
  • 社会医療法人
  • 社会福祉法人

3.対象となる利子等の範囲

対象となる利子等の範囲は174条各号のものである。

4.一定の届出等が必要な場合

(1)基本

公社債等の利子、収益の分配及び配当等の剰余金の配当に係る部分は、内国法人が公社債等につき政令で定める方法により管理されており、かつ、非課税申告書を当該公社債等の利子等の支払者を経由して税務署長に提出した場合に限り、非課税とされる(所法11条3項)。

(2)対象となる利子等

非課税となるものとそのうち一定の届出等が必要とされるものを対応させると以下のとおりである。

所法11条1項所法174条等一定の届出等
利子等公社債の利子(174条1号、23条)必要である
預貯金の利子(174条1号、23条)必要でない
合同運用信託の収益の分配(174条1号、23条)貸付信託は必要である(所令51条の2第1号)
公社債投資信託の収益の分配(174条1号、23条)必要である(所令51条の2第2号)
公募公社債等運用投資信託の収益の分配(174条1号、23条)必要である(所令51条の2第3号)
配当等剰余金の配当(174条2号、24条)必要である
利益の配当(174条2号、24条)必要でない
剰余金の分配(174条2号、24条)
投資法人による金銭の分配(174条2号、24条)
基金利息(174条2号、24条)
投資信託の収益の分配(174条2号、24条)
特定受益証券発行信託の収益の分配(174条2号、24条)
給付補填金定期積金に係る契約に基づく給付補塡金(3号)
定期積金のほか、一定の期間を定め、その中途又は満了の時において一定の金額の給付を行う契約に基づく給付補塡金(4号)
利息抵当証券に基づき締結された当該抵当証券に記載された債権の元本及び利息の支払等に関する事項を含む契約として政令で定める契約により支払われる利息(5号)
利益金その他の貴金属その他これに類する物品で政令で定めるものの買入れ及び売戻しに関する契約で、当該契約に定められた期日において当該契約に定められた金額により当該物品を売り戻す旨の定めがあるものに基づく利益(6号)
差益外国通貨で表示された預貯金でその元本及び利子をあらかじめ約定した率により本邦通貨又は当該外国通貨以外の外国通貨に換算して支払うこととされているものの差益(7号)
保険契約等で保険料又は一時に支払うことその他政令で定める事項をその内容とする者のうち、保険期間又は共済期間が5年以下のもの及び5年を超えるものでその保険期間等の初日から5年以内に解約されたものに基づく差益
利益の分配匿名組合契約に基づく利益の分配(9号)

(3)届出

公共法人等は、その支払を受けるべき公社債等の利子等につき非課税の規定の適用を受けようとする場合には、当該公社債等の利子等の支払を受けるべき日の前日までに、非課税申告書を金融機関等の営業所等及び支払者を経由してその支払者の当該利子等に係る納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(所令51条の4第1項)。この場合において、同項の申告書がその金融機関等の営業所等に受理されたときは、当該非課税申告書は、その受理された日に税務署長に提出されたものとみなされる(所令51条の4第3項)。

非課税申告書の提出は当初の1回で足りる(所基通11-1なお書き)。