剰余金の処分による圧縮記帳の仕訳と別表五(一)

1.前提

圧縮記帳の対象機械
機械の取得価額100,000
圧縮限度額60,000
圧縮額60,000圧縮限度額まで圧縮する
圧縮後の税務上の取得価額40,000
耐用年数5年
償却方法定額法
残存価額0円
会計上の償却費20,000
税務上の償却費8,000
償却超過額12,000
実効税率30%
圧縮記帳関連処理前の課税所得1,000,000

2.1年目の処理

(1)税効果なし

①会計仕訳

利益剰余金60,000圧縮積立金60,000

②税務調整仕訳

圧縮認定損60,000機械(圧縮記帳)60,000

③課税所得の計算

処理前の課税所得1,000,000
税務調整圧縮損△60,000
処理後の課税所得940,000

④別表五(一)

区分期首現在利益積立金額当期の増減差引翌期首現在利益積立金額
圧縮積立金60,00060,000
機械(圧縮記帳)△ 60,000△ 60,000

(2)税効果あり

①会計仕訳

利益剰余金42,000圧縮積立金42,000
法人税等調整額18,000繰延税金負債18,000

②税務調整仕訳

圧縮認定損60,000機械(圧縮記帳)60,000
繰延税金負債18,000法人税等調整額18,000

③について:税効果適用前の圧縮積立金相当額が損金の額に算入される(国税庁「税効果会計を適用している法人が租税特別措置法上の諸準備金等を剰余金の処分により積み立てた場合における損金算入額(法人税申告書に「明細表」を添付する場合)」)

③課税所得の計算

処理前の課税所得1,000,000
会計法人税等調整額△ 18,000
税務調整圧縮認定損△ 60,000
税務調整繰延税金負債否認18,000
処理後の課税所得940,000

④別表五(一)

区分期首現在利益積立金額当期の増減差引翌期首現在利益積立金額
圧縮積立金42,00042,000
機械(圧縮記帳)△ 60,000△ 60,000
繰延税金負債18,00018,000

3.2年目の処理

(1)税効果なし

①会計仕訳

減価償却20,000機械20,000
圧縮積立金12,000利益剰余金12,000

②税務調整仕訳

機械(減価償却超過額)12,000減価償却超過額12,000
機械(圧縮記帳)12,000圧縮記帳積立金取崩益12,000
減価償却超過額認容12,000機械(減価償却超過額)12,000

④について:圧縮積立金を取り崩した場合、益金の額に算入する(法法22条2項)
⑤について:法基通10-1-3

③課税所得の計算

処理前の課税所得1,000,000
会計減価償却△ 20,000
税務調整減価償却超過額12,000
税務調整圧縮記帳積立金取崩益12,000
税務調整減価償却超過額認容△ 12,000
処理後の課税所得992,000

④別表五(一)

区分期首現在利益積立金額当期の増減差引翌期首現在利益積立金額
圧縮積立金60,00012,000048,000
機械(圧縮記帳)△ 60,000△ 12,0000△ 48,000
機械(減価償却超過額)012,00012,0000

(2)税効果あり

①会計仕訳

減価償却20,000機械20,000
圧縮積立金8,400利益剰余金8,400
繰延税金負債3,600法人税等調整額3,600

②税務調整仕訳

機械(減価償却超過額)12,000減価償却超過額12,000
機械(圧縮記帳)12,000圧縮記帳積立金取崩益12,000
減価償却超過額認容12,000機械(減価償却超過額)12,000
繰延税金負債認容3,600繰延税金負債3,600

③課税所得の計算

処理前の課税所得1,000,000
会計減価償却△ 20,000
会計法人税等調整額3,600
税務調整減価償却超過額12,000
税務調整圧縮記帳積立金取崩益12,000
税務調整減価償却超過額認容△ 12,000
税務調整繰延税金負債認容△ 3,600
処理後の課税所得992,000

④別表五(一)

区分期首現在利益積立金額当期の増減差引翌期首現在利益積立金額
圧縮積立金42,0008,40033,600
機械(圧縮記帳)△ 60,000△ 12,000△ 48,000
繰延税金負債18,0003,60014,400
機械(減価償却超過額)012,00012,0000