1.概要
法人税は各事業年度の所得に対して課税される。そのため所得計算の前提としてどの期間が一つの事業年度となるかが重要である。通算法人の場合、通算親法人と通算子法人で決算日が異なっても通算親法人と同じ事業年度となるようになっている。
2.原則的な事業年度
(1)基本
通算子法人で通算子法人に係る通算親法人の事業年度開始の時に通算親法人との間に通算完全支配関係があるものの事業年度は、その開始の日に開始するものとされる(法法14条3項)。また通算子法人で通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の時にその通算親法人との間に通算完全支配関係があるものの事業年度は、その終了の日に終了するものとされる(法法14条3項)。そのため通算親法人と通算子法人で決算期が異なる場合でも、加入や離脱等があった場合を除けば通算子法人の事業年度は通算親法人と一致する。
(2)開始時の通算子法人の事業年度
通算親法人となる法人が通算の承認を受けたことにより、グループ通算制度が開始した場合、その通算の承認の効力発生日の前日で事業年度が終了し、効力発生日から新たな事業年度が開始する(法法14条4項1号)。
通算の承認の効力発生日はグループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日である。(法法64条の9第6項)。
(3)通算子法人加入時のその通算子法人の事業年度
内国法人が通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係を有することとなったことにより通算グループに加入した場合、その加入した日の前日で事業年度が終了し、加入した日から新たな事業年度が開始する(法法14条4項1号)。
なお加入する通算子法人に係る通算の承認はその加入日に生じるため、加入日の前日で終了する事業年度についてはグループ通算制度は適用されず、その翌事業年度からグループ通算制度が適用されることとなる(法法64条の9第11項)。
(4)通算子法人離脱時のその通算子法人の事業年度
内国法人が通算親法人との間にその通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなったことにより通算グループから離脱した場合、その離脱した日の前日で事業年度が終了し、離脱した日から新たな事業年度が開始する(法法14条4項2号)。
なお離脱する通算子法人に係る通算の承認は通算完全支配関係を有しなくなった日に効力を失う(64条の10第6項5号)。離脱した日の属する事業年度では通算の承認の効力は生じているため、グループ通算制度の適用を受ける。ただし通常通算親法人の事業年度終了の日と異なるため、通常損益通算等は行うことができない。
3.特殊な場合の事業年度
(1)通算グループに加入した事業年度に離脱した場合
特段の規定はないため、通常と同様に考えることとなる。加入日の前日でそれまでの事業年度が終了し、加入日から離脱日の前日までで一つの事業年度となる。そして離脱日からまた新たな事業年度が開始する。
(2)通算子法人が解散した場合のその通算子法人の事業年度
法人が事業年度の中途において解散した場合、通常その解散の日に事業年度が終了し、その翌日から新たな事業年度が開始する(法法14条1項1号)。しかし通算子法人が解散した場合、この取り扱いは適用されない(法法14条7項)。そのため通算子法人が解散しても通算親法人と同じ事業年度となる。
解散した通算子法人の残余財産が確定した場合、通算の承認はその確定の日の翌日に効力を失う(64条の10第6項5号)。通算の承認が効力を失う前日で事業年度が終了するため、通常の場合と同様に残余財産確定の日に事業年度が終了する(法法14条4項2号)。