適格請求書発行事業者の登録等

1.適格請求書発行事業者の登録

(1)手続

①原則

適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者は、登録申請書を税務署長に提出しなければならない(消法57条の2第2項)。

②登録の条件

適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは課税事業者に限られる(消基通1-7-1)。そのため免税事業者が登録を受けるには課税事業者選択届出書を提出しなければならない。課税事業者選択届出書を提出する結果、いわゆる課税事業者選択届出書の2年縛りにより2年間は課税事業者となる。

ただし2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合、その登録がされた日の属する課税期間のうち登録日からその課税期間の末日までの期間については、(課税事業者選択届出書を提出していなくとも)課税事業者となる(28年改正法附則44条4項)。従ってこの経過措置の適用を受ける場合、課税事業者選択届出書を提出する必要がない。

適格請求書発行事業者の登録の効力は、その登録日から生じる。上記の経過措置を受ける場合、その課税期間の中途から課税事業者となる。例えば個人事業者が10月1日に登録を受け、上記の経過措置により10月1日から課税事業者となった場合、10月1日から12月31日までの期間で消費税を計算し、納税を行う。なおこの経過措置が適用される期間でも、課税事業者選択届出書を提出した場合は1月1日から12月31日までの期間で消費税を計算し、納税を行うこととなる。

③適格請求書発行事業者の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合

納税義務は免除されない(消法9条1項(括弧書により適格請求書発行事業者が除外されている))。

(2)登録申請から登録通知までの期間

登録申請書の提出状況により異なる(Q&A問4)。

(3)登録の効力発生時期

①効力発生時期

適格請求書発行事業者の登録は、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」という)からその効力を生じる(消基通1-7-3)。従って課税期間の中途で登録を受けた場合、登録の効力は登録日から生じる(Q&A問6)。

②2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する場合には、その申請書に適格請求書発行事業者の登録を希望する年月日(以下「登録希望日」という。)を記載する(平成30年改正令附則15条2項)。登録希望日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者について、当該登録希望日後に適格請求書発行事業者の登録がされたときは、登録申請書に記載した登録希望日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなす(平成30年改正令附則15条3項)。

ただし登録希望日はその申請書を提出する日から15日を経過する日以後の日に限られる(平成30年改正令附則15条2項かっこ書き)。

③新たに設立された法人が適格請求書発行事業者の登録を受ける場合

新たに設立された法人がその事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨の登録申請書をその課税期間の末日までに提出した場合、その課税期間の初日から登録を受けたものとみなされ、登録の効力がその課税期間の初日から生じる(消令70条の4)。

2.登録の取りやめ

(1)手続

適格請求書発行事業者は、登録取消届出書を提出することにより、適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせることができる(消法57条の2第10項1号)。

(2)効力の発生時期

原則として登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌日から効力を生じる(消法57条の2第10項1号)。

例外的に登録取消届出書の提出があつた日の属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して15日前の日以後に提出された場合、その課税期間の翌課税期間の末日から生じる(消令70条の5第3項)。

(3)翌課税期間から登録を取りやめる場合の提出期限

翌課税期間から登録を取りやめる場合、翌課税期間から起算して15日前の日より前に提出しなければならない。

(4)納税義務との関係

①課税事業者選択届出書を提出している場合

適格請求書発行事業者の登録をするために課税事業者選択届出書を提出している場合、免税点制度の適用を受けるには、別途課税事業者選択不適用届出書を提出しなければならない。

②課税事業者選択届出書の提出を要しないとする経過措置の適用を受ける場合

課税事業者選択届出書の提出を要しないとする経過措置の適用を受ける場合、その登録開始日の属する課税期間の翌課税期間から登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、強制的に課税事業者となる(28年改正法附則44条5項)。ただしこの経過措置の適用を受ける登録日の属する課税期間が2023年10月1日を含む場合、この規定は適用されない(28年改正法附則44条5項但書)。