集団投資信託には「投資信託」とあるため、集団投資信託は投資信託の一部と思われるかもしれない。しかし集団投資信託には投資信託に該当しないものも含まれる。逆に投資信託がすべて集団投資信託に該当するわけではない。
投資信託は投信法上の概念であり、投資信託とは、委託者指図型投資信託及び委託者非指図型投資信託をいう(投信法2条3項)。委託者指図型投資信託とは、信託財産を委託者の指図に基づいて主として有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるもの(以下「特定資産」という。)に対する投資として運用することを目的とする信託であって、投信法に基づき設定され、かつ、その受益権を分割して複数の者に取得させることを目的とするものをいう(投信法2条1項)。委託者非指図型投資信託とは、一個の信託約款に基づいて、受託者が複数の委託者との間に締結する信託契約により受け入れた金銭を、合同して、委託者の指図に基づかず主として特定資産に対する投資として運用することを目的とする信託であって、投信法に基づき設定されるものをいう(投信法2条2項)。
それに対して集団投資信託とは主として税務上の概念であり、以下のものをいう(所法13条3項、法法2条29号)。
- 合同運用信託
- 一定の投資信託
- 特定受益証券発行信託
合同運用信託とは、信託会社が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう(所法2条1項11号、法法2条26号)。特定受益証券発行信託とは、信託法に規定される受益証券発行信託のうち一定の要件に該当するものをいう(所法2条15号の5、法法2条29項ハ)。
集団投資信託に含まれる合同運用信託と特定受益証券発行信託は投信法ではなく信託法上のものであり、投資信託に該当しない。そのため集団投資信託には投資信託に該当しないものも含まれる。
逆に投資信託のすべてが集団投資信託に該当するわけでもない。投資信託のうち、証券投資信託は集団投資信託に該当する(所法13条3項、法法2条29号ロ(1))。しかし証券投資信託以外の投資信託については、信託約款において受託者等による受益権の募集が公募により行われる旨の記載があり、かつ、受益権の発行価額の総額のうちに国内において募集される受益権の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載があるものしか投資信託に該当しない(所法13条3項、法法2条29号ロ(2))。それ以外は集団投資信託に該当せず、投資信託のすべてが集団投資信託に該当するわけではない。