非適格株式分配の税務

1.現物分配法人の税務

(1)譲渡損益

完全子法人の株式を株式分配時の時価による譲渡をしたものとして各事業年度の所得の金額を計算する。

(2)資本金等の額

資本金等の額が現物分配法人の非適格株式分配の直前の資本金等の額に株式分配割合を乗じて計算した金額減少する(法令8条1項17号)。

(3)利益積立金額

株式分配により現物分配法人の株主等に交付した完全子法人の株式等の価額の合計額からその現物分配による資本金等の額の減少額を減算した金額だけ利益積立金額が減少する(法令9条11号)。

2.被現物分配法人の税務

(1)完全子法人株式の取得価額

被現物分配法人は完全子法人の株式を取得する。その取得価額は原則として時価である。例外的に金銭等不交付株式分配の場合、その取得価額は現物分配法人の株式のその株式分配の直前の帳簿価額に株式分配割合を乗じて計算した金額に後述するみなし配当の額及び交付費用を加算した金額となる(法令119条1項8号)。

(2)現物分配法人株式の譲渡損益

内国法人が株式分配により完全子法人の株式等の交付を受けた場合には、現物分配法人株式のうちその完全子法人の株式に対応する部分の譲渡を行ったものとみなして、有価証券の譲渡損益を計上する(法法61条の2第8項前段)。

金銭等不交付株式分配の場合、譲渡対価及び譲渡原価の額は、いずれもその所有株式の株式分配の直前の完全子法人株式対応帳簿価額とされる(法法61条の2第8項後段)。

(3)みなし配当

株式分配は現物分配であるため、みなし配当が生じる。