1.高額特定資産を取得した場合の消費税の納税義務の免除の特例
(1)基本的内容
課税事業者が、簡易課税の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税の納税義務は免除されない(消法12条の4第1項)。
(2)高額特定資産が居住用賃貸建物に該当する場合
高額特定資産が居住用賃貸建物に該当する場合であっても、この規定の対象となる(消基通1-5-30、条文上この規定は仕入税額控除を受けることは要件になっていない)。
(3)留意点
- 課税事業者である課税期間中に高額特定資産を取得した場合に適用がある。
- 原則課税の適用を受ける課税期間中に高額特定資産を取得した場合に適用がある。
- この規定が適用される起因となった高額特定資産を廃棄、売却等した場合も継続適用され、3年を経過する日の属する課税期間まではこの規定により納税義務は免除されない(消基通1-5-22の2(1))。
2.高額特定資産である棚卸資産等について課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整の規定の適用を受けたときの消費税の納税義務の免除の特例
(1)基本的内容
事業者が、高額特定資産である棚卸資産若しくは課税貨物又は調整対象自己建設高額資産について課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整の規定の適用を受けた場合には、これらの規定の適用を受けた課税期間の翌課税期間からこれらの規定の適用を受けた課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税の納税義務は免除されない(消法12条の4第2項)。
(2)調整対象自己建設高額資産の意義
調整対象自己建設高額資産とは、他の者との契約に基づき、又は当該事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産のうち、当該棚卸資産の建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の税抜金額、特定課税仕入れに係る支払対価の額及び原材料費及び経費に係る保税地域から引き取られる課税貨物の課税標準である金額の累計額が1,000万円以上となったものをいう(消法12条の4第2項、消令25条の5第3項)。
(3)留意点
- この規定が適用される起因となった高額特定資産である棚卸資産を廃棄、売却等した場合も継続適用され、3年を経過する日の属する課税期間まではこの規定により納税義務は免除されない(消基通1-5-22の2(2))。
- 棚卸資産に係る消費税額の調整の規定の適用を受けた課税期間の初日の前日において建設等に要した費用の額が1,000万円未満である棚卸資産について、当該課税期間の初日以後において当該棚卸資産の建設等に要した費用の額が1,000万円以上となったとしても、この規定は適用されない(消基通1-5-29)。ただしその棚卸資産につき高額特定資産を取得した場合の消費税の納税義務の免除の特例が適用されることに注意する必要がある(消基通1-5-29(注))。
3.金地金等を取得した場合の消費税の納税義務の免除の特例
(1)基本的内容
課税事業者が、簡易課税の適用を受けない課税期間中に金地金等の仕入れ等を行った場合において、当該課税期間中の当該金地金等の仕入れ等の金額の合計額が税抜200万円以上であるときは、当該金地金等の仕入れ等を行った課税期間の翌課税期間から当該金地金等の仕入れ等を行った課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税の納税義務は免除されない(消法12条の4第3項、消令25条の5第4項)
(2)金地金等の意義
金地金等とは、以下のものをいう(消法12条の4第3項、消規11条の3)。
- 金又は白金の地金
- 金貨又は白金貨
- 金製品又は白金製品(金又は白金の重量当たりの単価に重量を乗じて得た価額により取引されるものに限るものとし、当該事業者が製造する製品の原材料として使用されることが明らかなものを除く。)
(3)金地金等の仕入れ等の範囲
金地金等の仕入れ等とは、以下のものをいう(消法12条の4第3項)。
- 金地金等の課税仕入れ
- 金地金等に該当する課税貨物の保税地域からの引取り
- 金地金等について課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整の規定の適用を受けたこと
(4)金地金等の仕入れ等を行った課税期間が一年に満たない場合
金地金等の仕入れ等の金額の合計額を年換算して判定する(金地金等の仕入れ等の合計額を当該課税期間の月数で除し、これに12を乗じて計算する。消令25条の5第4項かっこ書き)。この場合において一月に満たない端数を生じたときは、これを一月として計算する(消令25条の5第4項かっこ書き)。
(5)留意点
- この規定が適用される起因となった金地金等を廃棄、売却等した場合も継続適用され、3年を経過する日の属する課税期間まではこの規定により納税義務は免除されない(消基通1-5-22の2(3))。