1.高額特定資産の意義
高額特定資産とは、棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、一の取引の単位の支払対価の額が1,000万円以上のものをいう(消法12条の4第1項、消令25条の5第1項)。
2.高額特定資産の課税仕入等をした場合等の納税義務の免除の特例
(1)高額特定資産の課税仕入等をした場合
課税事業者が簡易課税の適用を受けていない課税期間中に高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは消費税の納税義務が免除されない(消法12条の4第1項)。
(2)高額特定資産である棚卸資産につき調整措置の適用を受けた場合
事業者が、高額特定資産である棚卸資産について棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合、その適用を受けた課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで消費税の納税義務は免除されない(消法12条の4第2項)。
免税事業者である期間中に不動産を棚卸資産として取得し、その後課税事業者となりその不動産につき棚卸資産の調整措置の適用を受け仕入税額控除を受けた後、再び免税事業者となり不動産を売却することにより、取得時の消費税につき還付を受ける一方、売却時の消費税を納付しないということが行われたため、この取り扱いが定められた。
3.高額特定資産と簡易課税
高額特定資産の課税仕入等をしたこと又は高額特定資産である棚卸資産につき調整措置の適用を受けたことにより納税義務が免除されない場合、次の区分に応じそれぞれに定める期間は原則として簡易課税制度選択届出書を提出することができない(消法37条3項)。
高額特定資産の課税仕入等をしたことにより納税義務が免除されない場合 | 高額特定資産に係る同項に規定する高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間(消法37条3項3号) |
高額特定資産である棚卸資産等について棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合 | 高額特定資産である棚卸資産等について棚卸資産の調整措置の適用を受けた課税期間の初日から同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間(消法37条3項3号) |