投資法人の導管性要件

1.概要

投資法人は要件を満たすことで支払う配当を損金の額に算入することができる。この要件を導管性要件という。

2.導管性要件の概要

以下の要件をすべて満たす必要がある。

  • 内閣総理大臣の登録を受けているものであること(措法67条の15第1項1号イ、投信法187条)。
  • 次のいずれかに該当するものであること(措法67条の15第1項1号ロ)。
    • (1)その設立に際して一定の発行をした投資口の発行価額の総額が1億円以上であるもの
    • (2)その事業年度終了の時において、その発行済投資口が50人以上の者によって所有されているもの又は機関投資家のみによって所有されているもの
  • 投資法人の規約において投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があること(措法67条の15第1項1号ハ、措令39条の32の3第3項)。
  • 会計期間が1年を超えないこと(措法67条の15第1項1号ニ、措令39条の32の3第3項)
  • 資産の運用以外の行為を営業としてしていないこと(措法67条の15第1項2号イ、投信法63条1項)
  • 本店以外の営業所を設けておらず、使用人を雇用していないこと(措法67条の15第1項2号イ、投信法63条2項)
  • その資産の運用に係る業務を資産運用会社に委託していること(措法67条の15第1項2号ロ)。
  • その資産の保管に係る業務を資産保管会社に委託していること(措置法67条の15第1項2号ハ)。
  • その事業年度終了の時において以下の同族会社に該当していないこと(措法67条の15第1項2号ニ、措令39条の32の3第5項)。
    • 投資法人の投資主の一人及びこれと特殊の関係のある者がその投資法人の発行済投資口の総数の50%を超える数の投資口を有する投資法人
    • 投資法人の投資主の一人及びこれと特殊の関係のある者がその投資法人の議決権のいずれかにつきその総数の50%を超える数を有する投資法人
  • その事業年度に係る配当等の額の支払額がその事業年度の配当可能利益の額として政令で定める金額の90%相当額を超えていること(措法67条の15第1項2号ホ、措令39条の32の3第6項)。
  • 他の法人の株式若しくは出資を有している場合又は匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次に掲げる割合のいずれもが50%でないこと(措法67条の15第1項2号ヘ)。
    • (1)投資法人が有している他の法人の株式又は出資の数又は金額がその他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める割合
    • (2)「その投資法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額」が「その金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額」のうちに占める割合
  • その事業年度終了の時において有する以下の資産に係るその事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている帳簿価額の合計額がその時の貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の合計額の2分の1に相当する金額を超えていること(措法67条の15第1項2号ト、措令39条の32の3第10項、投信令3条)。
    • 有価証券
    • デリバティブ取引に係る権利
    • 不動産
    • 不動産の賃借権
    • 地上権
    • 約束手形
    • 金銭債権
    • 匿名組合出資持分
    • 商品先物取引法2条1項に規定する商品
    • 一定の商品投資等取引に係る権利
  • 機関投資家以外の者から借入れを行っていないこと(措法67条の15第1項2号チ、措令39条の32の3第11項)