適格合併により引き継いだ減価償却資産の減価償却

1.取得価額

原則として次の金額の合計額が取得価額となる(法令54条1項5号イ)。附随費用がなければ被合併法人の取得価額をそのまま引き継ぐことになる。
-適格合併に係る被合併法人が適格合併の日の属する事業年度において移転を受けた資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額(原始取得価額)
-適格合併に係る合併法人が移転を受けた資産を事業の用に供するために直接要した費用の額(附随費用)

ただし被合併法人から引き継いだ減価償却資産につき後述する中古資産の耐用年数を使用する場合、償却の額で当該被合併法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は定額法等による償却限度額の計算上取得価額から控除される(耐用年数省令3条3項)。

2.償却方法

償却方法は引き継がない。ただし取得日は引き継ぐため、被合併法人において平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産については旧定額法等が適用される。

3.耐用年数

原則として法定耐用年数による。ただし中古資産を取得したものとして中古資産の耐用年数を用いることもできる(耐用年数省令3条1項)。また被合併法人において中古資産の耐用年数を使用していた時は、その耐用年数によることもできる(耐用年数省令3条2項)。

中古資産を取得したものとして中古資産の耐用年数を用いる場合、以下の償却方法による償却限度額の計算上、その取得価額には、当該被合併法人がした償却の額で当該被合併法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額を含まない(耐用年数省令3条3項)。また定率法における償却保証額計算上の取得価額にも含めない(同項)。

  • 定額法・旧定額法
  • 生産高比例法・旧生産高比例法

4.帳簿価額等

被合併法人の帳簿価額を引き継ぐ(法法62条の2第1項、法令123条の3第1項)。なお適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産につき当該資産の移転を受けた内国法人により当該資産の価額としてその帳簿に記載された金額が当該被合併法人等により当該資産の価額として当該適格組織再編成の直前にその帳簿に記載されていた金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、当該適格組織再編成の日の属する事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなされる(法法31条5項、法令61条の3)。

被合併法人から引き継いだ減価償却資産につき、定率法・旧定率法を適用する場合、既償却額も引き継がれる(文書回答事例「被合併法人から適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る償却限度額の計算について」)。

償却超過額も引き継がれる。明確な定義はないものの、一般に償却超過額とは減価償却資産についてした償却の額のうち各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額をいう(法令62条参照)。償却超過額はその減価償却資産に係る損金経理額に含まれ、最終的に会計と税務の差が調整される(法法31条4項)。被合併法人から適格合併により移転を受けた減価償却資産については、当該被合併法人の適格合併の日の前日の属する事業年度までに生じた償却超過額を引き継ぐ(法法31条4項かっこ書き、条文としては損金経理額に被合併法人の償却超過額が含まれるという書き方となっている)。