建物を賃借する場合の礼金や更新料の税務上の取扱い

建物を賃借する場合の礼金や更新料は税務上は原則として繰延資産として扱う必要がある。繰延資産とは、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう(法法2条24号)。政令で定めるものの一つに、資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用がある(法令14条1項6号ロ)。資産には建物が含まれるため、建物の賃借する際の礼金や賃貸借契約更新の際の更新料はこれに該当する(法基通8-1-5(1))。なお建物を賃借する際に支払った仲介手数料はその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる(法基通8-1-5(注))。仲介手数料も建物を賃借するために支出する費用であり、理論的には繰延資産に該当し得る。しかし仲介手数料は宅地建物取引業法の規定によりその上限が定められている(宅建業法46条1項、2項)。仲介手数料の上限は消費税込で賃料の1.1月分である(昭和45年建設省告示第1552号 第四)。金額として重要性が低いため、通達では支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとされている(法人税基本通達逐条解説十一訂版、P.801)。

繰延資産は税務上均等償却するものと任意償却できるものに分かれる(法令64条1項)。建物を賃借するために支出する権利金等は均等償却するものに該当する(法令64条1項2号)。均等償却するものは償却期間にわたって損金の額に算入する(法法32条1項、法令64条1項2号)。ただし支出する金額が20万円未満であるものにつき、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる(法令134条)。

建物を賃借するために支出する権利金等の償却期間は、以下の区分に応じそれぞれに定める年数で償却する(法基通8-2-3)。

(1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上その建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合その建物の耐用年数の7/10に相当する年数
(2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになっているものである場合その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数
(3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)

ほとんどの場合、(3)に該当するものと思われる。(3)に該当する場合、原則として5年、例外に該当すれば賃借期間で償却する。賃借期間が5年未満で、賃貸借契約を更新する際に更新料を支払う契約の場合、礼金・更新料は例外に該当し賃借期間で償却することになると考える。