1.居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合の仕入れに係る消費税額の調整
(1)基本
課税事業者が、居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額について仕入税額控除の不適用の規定の適用を受けた場合において、当該課税事業者が第三年度の課税期間の末日において当該居住用賃貸建物を有しており、かつ、当該居住用賃貸建物の全部又は一部を当該居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間に課税賃貸用に供したときは、当該有している居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に課税賃貸割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を当該課税事業者の当該第三年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算する(消法35条の2第1項)。
第三年度の課税期間とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいう(消法35条の2第3項)。法人の事業年度が1年で、かつ、課税期間の短縮の適用を受けていない場合、仕入れ等をした事業年度の翌々事業年度が適用を受ける事業年度となる。
第三年度の課税期間に所定の要件を満たすと、この規定の適用を受けることができる。調整対象固定資産の転用の場合は仕入れ等の日から3年であるが、こちらは仕入れ等の日の属する課税期間の開始の日から起算し、かつ、3年を経過する日の属する課税期間である。また調整対象固定資産の転用の場合は転用した課税期間に適用を受けるが、こちらは転用した課税期間ではなく、第三年度の課税期間に適用を受ける。
(2)仕入税額控除
適用対象となる居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に課税賃貸割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を当該課税事業者の当該第三年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算する(消法35条の2第1項)。
課税賃貸割合は、①の金額のうちに②の金額の占める割合をいう(消法35条の2第3項、消令53条の2第1項)。
- ① 当該課税事業者が調整期間に行った当該居住用賃貸建物の貸付けの対価の額の合計額から、当該調整期間に行った当該貸付けに係る資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
- ② 当該課税事業者が調整期間に行った当該居住用賃貸建物の貸付けのうち課税賃貸用に供したものの対価の額の合計額から、当該調整期間に行った当該貸付けに係る資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
調整期間とは、当該居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間をいう(消法35条の2第1項)。
対象となる居住用賃貸建物を一部譲渡等している場合、第三年度の課税期間の末日において有している部分のみで課税賃貸割合を計算する(消令53条の2第1項1号)。
2.居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間に他の者に譲渡した場合の仕入れに係る消費税額の調整
(1)基本
課税事業者が、居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額について仕入税額控除の不適用の規定の適用を受けた場合において、当該課税事業者が当該居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間に他の者に譲渡したときは、当該譲渡をした居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に課税譲渡等割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を当該事業者の当該譲渡をした課税期間の仕入れに係る消費税額に加算する(消法35条の2第1項)。
調整期間とは、転用と同様に当該居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間をいう(消法35条の2第1項)。
居住用賃貸建物の転用と異なり、こちらは譲渡をした課税期間に適用を受ける。
(2)仕入税額控除
適用対象となる居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に課税譲渡等割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を当該事業者の当該譲渡をした課税期間の仕入れに係る消費税額に加算する(消法35条の2第2項)。
課税譲渡等割合とは、①の金額のうちに②の金額の占める割合をいう(消法35条の2第3項、消令53条の2第2項)。
- ① 当該課税事業者が課税譲渡等調整期間に行った当該居住用賃貸建物の貸付けの対価の額の合計額と当該事業者が行った当該居住用賃貸建物の譲渡の対価の額との合計額から、当該課税譲渡等調整期間に行った当該貸付け及び当該譲渡に係る資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
- ② 当該事業者が課税譲渡等調整期間に行つた当該居住用賃貸建物の貸付けのうち課税賃貸用に供したものの対価の額の合計額と当該事業者が行つた当該居住用賃貸建物の譲渡の対価の額との合計額から、当該課税譲渡等調整期間に行った当該貸付け及び当該譲渡に係る資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
課税譲渡等調整期間とは、当該居住用賃貸建物の仕入れ等の日から当該居住用賃貸建物を他の者に譲渡した日までの間をいう(消法35条の2第1項)。
譲渡の対価だけではなく、貸付けの対価も含まれることに注意する必要がある。
対象となる居住用賃貸建物を一部を譲渡した場合、譲渡した部分のみで計算する(消令53条の2第2項)。