自己株式取得の会計と税務

1.会計

自己株式を取得した場合、純資産の部の株主資本において自己株式として表示する(会社計算規則76条2項5号)。その金額はその自己株式の取得価額である(会社計算規則24条1項)。

2.税務

(1)通常

自己株式の取得により金銭その他の資産を交付した場合、資本金等の額から取得資本金額を控除する(法令8条1項20号)。また当該自己株式の取得により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が取得資本金額を超える場合、利益積立金額からその超える部分の金額を控除する(法令9条14号)。

種類株式発行会社でない場合、取得資本金額とは、自己株式の取得を行う法人の当該自己株式の取得の直前の資本金等の額を当該直前の発行済株式の総数で除し、これに当該自己株式の取得等に係る株式の数を乗じて計算した金額をいう(法令8条1項20号イ)。

取得資本金額を計算する際の留意点は以下の通りである。

  • 取得資本金額計算時の発行済株式の総数には自己が有する自己の株式を含めない。
  • 当該直前の資本金等の額が0以下である場合には、取得資本金額は0となる。
  • 上記によって計算した金額が当該自己株式の取得により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算する。

(2)金融商品取引所の開設する市場における購入による取得等の場合

金融商品取引所の開設する市場における購入による取得等の場合、資本金等の額からその対価の額に相当する金額を控除する(法令8条1項21号)。

3.具体例

(1)前提

  • 資本金の額は5,000,0000円、その他資本剰余金は5,000,000円とし、資本金等の額は10,000,000円とする。
  • 自己株式を5,000,0000円取得するものとし、取得資本金額は2,000,000円とする。
  • 金融商品取引所の開設する市場における購入による取得等でないものとする。

(2)会計

仕訳は以下のようになる。

借方貸方
自己株式5,000,000現金5,000,000

(3)税務

仕訳は以下のようになる。

借方貸方
資本金等の額2,000,000現金5,000,000
利益積立金額3,000,000

(4)別表五(一)の記載

別表五(一)利益積立金額部分の記載は例えば以下のようになる。

区分期首現在利益積立金額当期の増減差引翌期首現在利益積立金額
自己株式△3,000,000△3,000,000

資本金等の部分の記載は例えば以下のようになる。

区分期首現在資本金等の額当期の増減差引翌期首現在資本金等の額
資本金又は出資金5,000,0005,000,000
資本準備金
その他資本剰余金5,000,0005,000,000
自己株式△2,000,000△2,000,000
差引合計額10,000,000△2,000,0008,000,000