1.減資の意義等
減資は会社法上の用語ではないが、一般的に資本金の額を減少させることを指す。
さらに減資は無償減資と有償減資に分けられる。一般に有償減資といった場合、減資に伴って株主に金銭の支払等をするものを指す。それに対して無償減資は単に資本金の額を減少させるのみで株主に金銭の支払等をしない減資のことをいう。
2.無償減資の会計と税務
(1)会計
資本金の額を減少する場合、その他資本剰余金の額が増加する(会社計算規則27条1項1号)。
(2)税務
税務における資本金の額に相当するものが資本金等の額である。資本金等の額は資本金の額に一定の金額を加減算した金額である(法令8条1項本文)。資本金の額が減少した場合、当然に同額資本金等の額が減少する。それとともに資本金等の額に資本金の額の減少額が加算される(法令8条1項12号)。そのため資本金等の額は結果的に増減しない。
(3)具体例
①前提
減資前の資本金の額は10,000,0000円、資本金等の額は同額の10,000,000円とする。資本準備金はないものとし、5,000,0000円減資するものとする。
②会計
仕訳は以下のようになる。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 5,000,000 | その他利益剰余金 | 5,000,000 |
この結果、資本金の額は5,000,000円、その他資本剰余金の額も5,000,000円となる。
③税務
仕訳は以下のようになる。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金等の額 | 5,000,000 | 資本金等の額 | 5,000,000 |
この結果、資本金等の額は増減しない。
別表五(一)の記載方法は法定されていない。しかし増減要因がわかりやすいように以下のように記載するのが一般的と思われる。
| 区分 | 期首現在資本金等の額 | 当期の増減 | 差引翌期首現在資本金等の額 | |
|---|---|---|---|---|
| 減 | 増 | |||
| 資本金又は出資金 | 10,000,000 | 5,000,000 | 5,000,000 | |
| 資本準備金 | ||||
| その他資本剰余金 | 5,000,000 | 5,000,000 | ||
| 差引合計額 | 10,000,000 | 5,000,000 | 5,000,000 | 10,000,000 |
3.有償減資の会計と税務
(1)会計
有償減資とは減資に伴って金銭の支払等をすることをいうが、会社法上は減資とともに資本剰余金を原資とする配当を行うことになる。
資本剰余金を原資とする配当を行った場合、その他資本剰余金の額から配当財産の帳簿価額の総額が減額される(会社計算規則23条1号イ)。
(2)税務
①基本
資本剰余金を原資とする配当が行われた場合、資本金等の額からその配当に係る減資資本金額が減額される(法令8条1項18号)。そして資本剰余金を原資とする配当により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該減資資本金額を超える場合、利益積立金額からその超える部分を控除する(法令9条12号)。
②減資資本金額
基本的な計算式
種類株式発行会社でない場合、減資資本金額とは、当該資本剰余金を原資とする配当の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合をを乗じて計算した金額をいう(法令8条1項18号イ)。
- (1) 当該資本剰余金を原資とする配当の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額
- (2) 当該資本剰余金を原資とする配当により減少した資本剰余金の額により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
分母に関する留意点
- 当該資本剰余金を原資とする配当の日以前6月以内に中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該資本の払戻し等の日までの間に確定申告書を提出していなかった場合には、当該中間申告書に係る期間の終了時が基準となる。
- 負債には新株予約権及び株式引受権に係る義務が含まれる。
- 基準となる時から当該資本剰余金を原資とする配当の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(法人税法施行令9条1号及び6号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算する。
分子に関する留意点
- 当該資本剰余金を原資とする配当により減少した資本剰余金の額又は当該配当により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(2)は(1)に掲げる金額となる。
全般的な留意点
- 当該資本剰余金を原資とする配当の直前の資本金等の額が零以下である場合、乗ずる割合は0となる。
- 当該資本剰余金を原資とする配当の直前の資本金等の額が0を超え、かつ、(1)に掲げる金額が0以下である場合、乗ずる割合は1となる。
- 計算した金額が減少した資本剰余金の額を超えるときは、その超える部分の金額を控除する。
端数処理
小数点以下三位未満切上げ
(3)具体例
①前提
減資前の資本金の額は10,000,0000円、資本金等の額は同額の10,000,000円とする。資本準備金はないものとする。5,000,0000円減資するとともに5,000,000円資本剰余金を原資とする配当を行うものとする。減資資本金額は2,000,000円とする。
②会計
仕訳は以下のようになる。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 5,000,000 | その他利益剰余金 | 5,000,000 |
| その他資本剰余金の額 | 5,000,000 | 現金 | 5,000,000 |
この結果、資本金の額は5,000,000円、その他資本剰余金の額は0円となる。
③税務
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金等の額 | 5,000,000 | 資本金等の額 | 5,000,000 |
| 資本金等の額 | 2,000,000 | 現金 | 5,000,000 |
| 利益積立金額 | 3,000,000 | ||
この結果、資本金等の額は8,000,000円となり、利益積立金額は3,000,000円減少する。
別表五(一)の資本金等の部分の記載は例えば以下のようになる。
| 区分 | 期首現在資本金等の額 | 当期の増減 | 差引翌期首現在資本金等の額 | |
|---|---|---|---|---|
| 減 | 増 | |||
| 資本金又は出資金 | 10,000,000 | 5,000,000 | 5,000,000 | |
| 資本準備金 | ||||
| その他資本剰余金 | 5,000,000 | 5,000,000 | 0 | |
| その他利益剰余金 | 3,000,000 | 3,000,000 | ||
| 差引合計額 | 10,000,000 | 10,000,000 | 8,000,000 | 8,000,000 |
対応する利益積立金額部分の記載は以下のようになる。
| 区分 | 期首現在利益積立金額 | 当期の増減 | 差引翌期首現在利益積立金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 減 | 増 | |||
| その他資本剰余金 | 3,000,000 | △3,000,000 | ||