事前交付型株式報酬・事後交付型株式報酬と特定譲渡制限付株式

1.特定譲渡制限付株式の定義

内国法人が個人から役務の提供を受ける場合において、当該役務の提供に係る費用の額につき交付される株式で、以下の要件を満たすものを譲渡制限付株式という(法法54条1項、法令112条の2第1項)。

  • 譲渡(担保権の設定その他の処分を含む。)についての制限がされており、かつ、当該譲渡に係る譲渡制限期間が設けられていること。
  • 当該個人から役務の提供を受ける内国法人又はその株式を発行し、若しくは当該個人に交付した法人がその株式を無償で取得することとなる事由で、その株式の交付を受けた個人が譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継続しないこと若しくは当該個人の勤務実績が良好でないことその他の当該個人の勤務の状況に基づく事由又はこれらの法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他のこれらの法人の業績その他の指標の状況に基づく事由が定められていること。

この譲渡制限付株式のうちさらに以下の要件を満たすものを特定譲渡制限付株式という(法法54条1項)。

  • 当該譲渡制限付株式が当該役務の提供の対価として当該個人に生ずる債権の給付と引換えに当該個人に交付されるものであること。
  • 当該譲渡制限付株式が実質的に当該役務の提供の対価と認められるものであること

2.事前交付型株式報酬と特定譲渡制限付株式

事前交付型株式報酬として交付される株式は通常特定譲渡制限付株式に該当する。事前交付型株式報酬は役務提供の対価である。事前交付型株式報酬はあらかじめ株式が交付されるものの通常譲渡制限が付される。また勤務期間や業績等により交付された株式を無償で取得する条件が付される。従って事前交付型株式報酬として交付される株式は通常特定譲渡制限付株式の要件をすべて満たし、特定譲渡制限付株式に該当する。

交付した株式を無償で取得する事由を定めなかった場合、事前交付型株式報酬として交付される株式であっても特定譲渡制限付株式に該当しない。

3.事後交付型株式報酬と特定譲渡制限付株式

事後交付型株式報酬は通常特定譲渡制限付株式に該当しない。事後交付型株式報酬も事前交付型株式報酬と同様に役務の提供の対価である。しかし事後交付型株式報酬の場合、通常交付した株式を無償で取得する事由は定めない。事後交付型株式報酬として交付した株式につき譲渡制限が定められていても、無償で取得する事由が定められなかった場合は特定譲渡制限付株式に該当しない。

事後交付型株式報酬として交付した株式を無償で取得する事由を定めた場合、特定譲渡制限付株式に該当する余地がある。しかし事後交付型株式報酬の場合、業績等に基づき算定し交付した株式を交付後にさらに無償で取得する事由を定める合理性はないため、事後交付型株式報酬として交付した株式が特定譲渡制限付株式に該当することはまずないと思われる。