1.損金算入要件の概要
- (1)支給する法人に関する要件
- ①内国法人であること(法法34条1項3号)
- ②同族会社の場合、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があること(法法34条1項3号)
- (2)支給される個人に関する要件
- ③業務執行役員であること(法法34条1項3号)
- ④業務執行役員の全てに対して対価等の算定方法に関する要件を満たす業績連動給与を支給すること(法法34条1項3号)
- (3)対価の内容に関する要件
- ⑤金銭又は適格株式若しくは適格新株予約権であること(法法34条1項3号)
- (4)対価等の算定方法に関する要件
- ⑥交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が以下のいずれかの指標を基礎とした客観的なものであること
- その給与に係る職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標
- 職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標
- 職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標
- ⑦金銭による給与にあっては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあっては確定した数を、それぞれ限度としていること(法法34条1項3号イ(1))
- ⑧他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること(法法34条1項3号イ(1))
- ⑥交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が以下のいずれかの指標を基礎とした客観的なものであること
- ⑨職務執行期間開始日の属する会計期間開始の日から3月(定款等の定め等により各事業年度終了の日の翌日から2月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるとして申告期限の延長を受けている内国法人にあっては、その延長期間の指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに報酬委員会で、その委員の過半数が独立社外取締役であるものが算定方法の決定をしていること(法法34条1項3号イ(2)、法令69条13項)
- ⑩政令で定める適正な手続を経ていること(法法34条1項3号イ(2))
- ⑪算定方法の内容が、算定方法を決定する適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること(法規22条の3第6項)
- 有価証券報告書に記載する方法
- 半期報告書に記載する方法
- 臨時報告書に記載する方法
- 金融商品取引所の業務規程又はその細則を委ねた規則に規定する方法に基づいて行う当該事項に係る開示による方法
- (5)支給期限の要件
- ⑫支給期限内に支給していること
- (6)損金経理要件
- ⑬損金経理すること(法法34条1項3号ロ、法令69条19項2号)
2.③業務執行役員であること
業務執行役員とは以下の者をいう。
- 代表取締役(法令69条9号1号、会社法363条1項1号)
- 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの(法令69条9号1号、会社法363条1項2号)
- 執行役(法令69条9号2号、会社法418条)
- 上記の役員に準ずる役員(法令69条9号3号)
3.⑩政令で定める適正な手続を経ていること
(1)同族会社でない場合
内国法人が同族会社でない場合、適正な手続とは次に掲げるものをいう(法令69条16項)。
- 報酬委員会の決定であって次に掲げる要件の全てを満たすもの
- 当該報酬委員会の委員の過半数が当該内国法人の独立社外取締役であること。
- 当該内国法人の業務執行役員に係る特殊関係者が当該報酬委員会の委員でないこと。
- 当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成していること。
- 指名委員会等設置会社である場合を除き、当該内国法人の株主総会の決議による決定
- 指名委員会等設置会社である場合を除き、当該内国法人の報酬諮問委員会に対する諮問その他の手続を経た取締役会の決議による決定であって次に掲げる要件の全てを満たすもの
- 当該報酬諮問委員会の委員の過半数が当該内国法人の独立社外取締役であること。
- 当該内国法人の業務執行役員に係る特殊関係者が当該報酬諮問委員会の委員でないこと。
- 当該報酬諮問委員会の委員である独立社外取締役等の全員が当該諮問に対する当該報酬諮問委員会の意見に係る決議に賛成していること。
- 当該決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員が当該諮問に対する当該報酬諮問委員会の意見に係る決議に参加していないこと。
- 上記の手続に準ずる手続
報酬諮問委員会とは、取締役会の諮問に応じ、当該内国法人の業務執行役員の個人別の給与の内容を調査審議し、及びこれに関し必要と認める意見を取締役会に述べることができる三以上の委員から構成される合議体をいう(法令69条16項3号)。
(2)同族会社である場合
内国法人が同族会社である場合、適正な手続とは、次に掲げるものをいう(法令69条17項)。
- 当該内国法人の完全支配関係法人の報酬委員会の決定に従ってする当該内国法人の株主総会又は取締役会の決議による決定で、次に掲げる要件の全てを満たす場合
- 当該報酬委員会の委員の過半数が当該完全支配関係法人の独立社外取締役であること。
- 次に掲げる者(当該完全支配関係法人の業務執行役員を除く。)が当該報酬委員会の委員でないこと。
- 当該内国法人の業務執行役員
- 当該内国法人又は当該完全支配関係法人の業務執行役員に係る特殊関係者
- 当該報酬委員会の委員である当該完全支配関係法人の独立社外取締役の全員が当該報酬委員会の決定に係る決議に賛成していること。
- 完全支配関係法人(指名委員会等設置会社を除く。)の報酬諮問委員会に対する諮問その他の手続を経た当該完全支配関係法人の取締役会の決議による決定(次に掲げる要件の全てを満たす場合における当該決定に限る。)に従ってする当該内国法人の株主総会又は取締役会の決議による決定で、次に掲げる要件の全てを満たすもの
- 当該報酬諮問委員会の委員の過半数が当該完全支配関係法人の独立社外取締役であること。
- 次に掲げる者(当該完全支配関係法人の業務執行役員を除く。)が当該報酬諮問委員会の委員でないこと。
- 当該内国法人の業務執行役員
- 当該内国法人又は当該完全支配関係法人の業務執行役員に係る特殊関係者
- 当該報酬諮問委員会の委員である当該完全支配関係法人の独立社外取締役等の全員が当該諮問に対する当該報酬諮問委員会の意見に係る決議に賛成していること。
- 当該完全支配関係法人の取締役会の決議による決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員がハの決議に参加していないこと。
- 上記の手続に準ずる手続
完全支配関係法人とは、当該内国法人との間に完全支配関係がある同族会社以外の法人をいう(法令69条17項1号)。
報酬諮問委員会とは、取締役会の諮問に応じ、当該完全支配関係法人及び当該内国法人の業務執行役員の個人別の給与の内容を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める意見を取締役会に述べることができる三以上の委員から構成される合議体をいう(法令69条17項2号)。
4.支給期限の要件
以下の区分に応じ、それぞれの期間内に支給していなければならない。
| 下記以外 | 金銭による給与 | 業績連動指標の数値が確定した日の翌日から1月を経過する日 |
| 株式又は新株予約権による給与 | 業績連動指標の数値が確定した日の翌日から2月を経過する日 | |
| 特定新株予約権又は承継新株予約権による給与で、無償で取得され、又は消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの | 業績連動給与の算定方法を決定する手続の終了の日の翌日から1月を経過する日 | |
5.損金経理要件
損金経理していなければならない(法法34条1項3号ロ、法令69条19項2号)。給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理する方法が認められている(法令69条19項2号かっこ書き)。