相続時精算課税と取得費加算

相続又は遺贈による財産の取得をした個人は取得費加算の特例を受けることができる(措法39条1項)。そのため相続時精算課税の適用を受けた個人で、相続又は遺贈により財産を取得した者は当然取得費加算の適用を受けることができる。取得費加算の特例を受けることができる個人には、相続税法等の規定により相続又は遺贈により財産を取得したとみなされる者を含む(措法39条1項かっこ書き)。相続時精算課税の適用を受けた者で、相続及び遺贈により財産を取得しなかった者は相続時精算課税の適用を受けた財産を相続又は遺贈により取得したものとみなされる(相法21条の16第1項)。従って相続時精算課税の適用を受けた個人は、相続又は遺贈により財産を取得していなくても取得費加算の特例を受けることができる。

また取得費加算の特例の対象となる資産はその相続の相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産である(措法39条1項)。相続時精算課税の適用を受けた資産は相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入される(相法21条の15第1項、21条の16第3項2号)。従って他の要件を満たせば、相続時精算課税の適用を受けた資産について取得費加算の特例の適用を受けることができる。